自動化は人間の能力の退化を促す

2015年02月04日 07時00分
【大紀元日本2月4日】ロボットやコンピューター技術の普及とともに、多くの仕事が自動化され、機械で行われるようになった今日、人間の能力の退化が目立つようになった。

 「ウォール・ストリート・ジャーナル」の報道によれば、この現象は1950年代に、すでに注目されていたという。ハーバード大学商業学院のジェームス・ブライト(James Bright)教授が当時行なった調査では、製造業、石油製錬工場、食品生産業などの工場では作業の自動化とともに労働者の仕事が次第に単調になり、それによって労働者の技術レベルが下がっていると結論づけている。

パイロットの操縦能力の低下

 飛行機が発明された当時、自動操縦の技術はなかった。しかし1970年代以降、自動操縦技術の普及とともにパイロットの操縦能力が次第に低下し始めた。この状態が進行すれば、飛行中の操縦のほぼ全てが機械で行われることになり、パイロットの技術力はますます低下していくと航空専門家は指摘している。

 2007年、イギリス、クランフィールド大学のマシュー・エバストン教授は、商業航路を飛行するパイロットの操縦能力を調査する為、対象者にフライト・シミュレーターで高難度の操縦を行わせた。フライト・シミュレーターの飛行条件は、「片側のエンジンが停止し、悪天候の中で着陸するボーイング機」と設定し、パイロットたちが飛行機の高度や速度等をどれだけ精確に操縦できるか、詳細に記録した。すると、最近の手動飛行時間数が多いほど、操縦の精確度が高いことが分かった。この調査結果は、自動操縦に任せるばかりで手動操縦を行わなければ、操縦技術が速やかに退化することを示唆した。

 飛行技術が退化したパイロットは手動飛行時のリスクが高くなり、特に緊急事態が発生した場合に操縦ミスを起こしやすい。実際、近年に発生した多くの飛行機事故は、パイロットの操縦ミスが関係している。去年実施された、米連邦民用航空管理局(FAA)の機関室技術研究グループの調査でも、飛行機事故の発生は自動装置に過剰に頼っていることが要因があることが判明した。パイロットが常に自動操縦の計器に従って行動していれば、緊急事態の時に自己判断力が発揮できない可能性が高い。FAAは航空会社に、パイロットにもっと手動飛行の時間を増やすよう指導する事を求めている。

医療分野の機械化

 医療分野も機械化の影響を強く受けている。医師達はますますコンピュータの指示に左右されるようになり、診療活動は機械化、模式化しつつある。2007年から2008年の間に、ニューヨーク州立大学のティモシー・ホフ(Timothy Hoff)教授はニューヨーク州の北部で診療用コンピュータシステムを利用している医師75名を訪問し、診療用コンピュータシステムの利点と欠点について聞き取りを行った。調査を受けた多くの医師は、このシステムを利用することによって患者に関連する診療情報を把握する事がだんだんと少なくなり、診断と治療に関する正確な判断に大いに影響を与えていると感想を述べた。

 もし人類が過剰に自動化システムに依存すれば、人間の能力はますます退化し、愚鈍になり、最後には機械に操られるだろう。将来は機械が生存するのに適した社会になるかもしれないと「ウォール・ストリート・ジャーナル」は指摘している。

 (翻訳編集・景文)
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