【医学古今】 血小板減少症と脾気虚

2015年04月08日 07時00分

【大紀元日本4月8日】血小板減少症の治療のため、24歳の女性が鍼灸院に来られました。患者さんは3カ月前に風邪を引き、その後、皮下出血点や月経出血量の増加などの症状が現れ、病院で検査を受けると血小板が4万あまりしかありませんでした(通常は血液中に10万~40万個/立方ミリ)。特発性血小板減少性紫斑病と診断され、経過観察することになりました。

 鍼灸院に初めて来られた時、血小板は6万ぐらいで、この数値は2カ月間続いていたそうです。血小板の減少以外にも頭痛、めまい、倦怠感、慢性下痢や腹痛、冷え症、頻尿などの症状もありました。更に花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの病歴もあり、季節の変わり目に症状が現れます。顔色は黄色っぽくて艶が無く、舌質は淡暗、舌苔は薄白、皮膚も乾燥していて艶がありません。手足は冷たく、脈は細緩弱です。患者さんは長年、冬でも冷たい飲み物を飲むほど、冷たいものの飲食を好んでいました。

 血小板という言葉は漢方医学の概念の中には存在せず、もちろん血小板減少症という病名もありません。現れた様々な症状は、「脾気(ひき)不足、中焦寒滞(ちゅうしょうかんたい)」である「証」だと考えられます。そう考えると、すべての症状を理解、解釈できます。

 漢方医学の理論では、脾は消化器の機能を主る器官であり、同時に統血(とうけつ、血脈から血が漏出しないようにする働きのこと)機能もあります。脾の機能が弱くなると消化吸収能力が低下します。血液の成分を生成するための栄養が不足して血小板の生成に影響を与えるとともに、統血機能も低下するため、血液は血管から漏れて出血症状も現れやすくなります。その他の頭痛や腹痛、冷え症、頻尿は「中焦寒滞」、つまり腹部の冷えに由来した症状であり、めまい、倦怠感、慢性下痢などの症状は「脾気虚(ひききょ)」から由来した症状だと理解することができます。

 よってこの患者さんには、脾経(ひけい)の血海(けっかい)、陰陵泉(いんりょうせん)、三陰交(さんいんこう)、公孫(こうそん)などのツボを中心に、陰交(いんこう)、天枢(てんすう)、足三里、脾兪(ひゆ)、腎兪(じんゆ)などのツボを合わせ、鍼と灸の治療を施しました。1回目の治療をしてから2週間後、血小板は6万から4,7万まで下がりました。2回目の治療をしてから2週間後に、血小板は8万台に回復しました。更に2週間後の来院時には、9万台に増加しました。それとともに頭痛、めまい、倦怠感、慢性下痢や腹痛、頻尿などの症状はほとんど無くなり、冷え症も改善されました。

 日常生活で冷たいものの飲食を控えるように指導し、体質を改善するためにしばらく治療を続けたいと考えています。
 

 (漢方医師・甄 立学)

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