【医学古今】 低体温と脾腎陽虚

2015年05月06日 07時00分

【大紀元日本5月6日】最近、低体温の人が年齢を問わず増えています。通常の適正体温は36.5度くらいで、平熱が36度以下になると体内の酵素の働きが低下し、新陳代謝が悪くなり、免疫力も低下します。低体温になると病気に罹りやすくなり、さまざまな辛い症状を招いてしまうことが予測できるのです。

 低体温の患者さんに現れる症状は、倦怠感、身体の重さ、朝の目覚めの悪さ、昼間に眠くなる、四肢末端の冷え、腹痛、下痢、頻尿、肩こり、頭痛、腰痛、生理不順など、実にさまざまなものがあります。

 低体温になる原因は、現代医学の面からは環境要因や飲食習慣、運動不足、ストレスなどが指摘されています。しかし同じ条件下で生活していても、みなが同じように低体温になるわけではありません。つまり低体温になるのは上記の要因以外に、もう一つ重要な要素、つまり基礎体質を考えなければなりません。漢方医学の面から見た低体温になりやすい基礎体質は、「脾腎陽虚」です。

 脾腎陽虚という体質認識があるかどうかは、低体温に対する治療効果に強く影響します。体質の認識がなく、ただ環境要因や飲食習慣などの改善に取り組むだけであれば、治療効果は得られにくいのです。体質の要因をはっきり認識した上で治療すれば、より早く効果が得られます。

 子供や若い人の低体温症は脾陽虚によるものが多く、高齢者の低体温症は腎陽虚によるものが多いのですが、多くの場合は脾陽虚と腎陽虚を兼ねています。

 治療に当たっては生野菜などの冷たい飲食を控えるとともに、足元や身体の保温に気を配った上で、脾陽虚には人参湯、大建中湯、小建中湯などの漢方薬を、腎陽虚には八味地黄丸、牛車腎気丸などの漢方薬を選択して服用すれば、効果がより早く得られます。

 脾腎陽虚の体質改善には、鍼灸治療でも良い効果が得られます。私がよく使うツボとして、陰交、関元、通里、足三里、三陰交、照海、命門、陰陵泉などがあります。お灸を併用すると更に早く改善効果が得られます。
 

(漢方医師。甄 立学)

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