大紀元時報
古代中国の物語

借りは必ず清算される

2015年12月24日 07時00分
IQRemix/Flickr
IQRemix/Flickr

 数年後、リーの愛人の一人が懐妊し、彼は心から喜んだ。彼はずっと息子を欲しがっていたが、妻は子どもを産めなかったため、跡継ぎについて心配していたからだった。

 子供がまさに生まれようとする前夜、リーは不思議な夢を見た。ドアが開き、亡くなったはずのチェンが入ってきたのだ。チェンは肩に大きな布袋を抱え、憎々し気にリーを見つめている。

 「俺は、お前の借りを取り立てに来た」。チェンはニヤリと笑った。リーは冷や汗をかきながら夢から覚めた。

 その時、女中が急いでリーの部屋へやってきて、男の赤ん坊が生まれたことを告げた。リーの悪夢とは裏腹に、男の子は丸々として健康的だった。

 リーは、生まれたばかりの息子に災いがあるのではないかと気を揉んでいたが、それはいらぬ心配だった。息子は賢くて勇気があり、また親に対しては非常に従順だった。リーは息子の将来のために惜しみなく財産を使い、最高の家庭教師をつけてやった。その後、リーは徐々にチェンの悪夢のことを忘れていった。

清算

 リーの息子は成長し、科挙に合格した。官僚になったが、その位は上位から7番目だった。リーの家では祝いのための盛大な宴会が開かれていたが、ある一人の客が言った。「リーさん、今は官位も金で買える時代だ。息子さんのために、金を使ったらどうだね」。その場にいたほかの客も、皆うなずいた。

 リーは息子のために銀貨を高官に送った。ほどなくして、息子は7番目から4番目に昇進した。リーは歓喜した。

 息子は、嫁を娶るのには申し分ない官位を得たが、彼は普通の女性では満足しなかった。彼が目をつけたのは、権力のある政治家の家に住む女性で、それはまたあらたにリーが金を工面してやらねばならないことを意味していた。

 ある日、リーは杯を傾けながら、うたた寝をしていた。息子の将来は明るく、美しい婚約者との結婚式も近づいている。すべてに満足したリーは、ふと眠りに落ちた。すると、あのチェンが目の前に現れた。

 「ずいぶんと時間がかかった」。チェンはにやりと笑った。「しかし、ようやくお前からすべての貸しを取り立てることができた。ほんの少しの利子もついている」

 話ながら、チェンは肩にしょった大袋をたたいた。リーがよく見ると、その袋には銀貨が詰まっている。「借りは清算された」とチェンは言った。「これでお前を放免してやろう」

 リーが目覚めるのと同時に、下男が彼の部屋をノックした。「ご主人さま、ご子息様がご病気です」

 借りの取り立てがやってきた。リーは動転して息子の部屋に駆けつけたが、すでに息子は亡くなっていた。

 リーは、すべてを悟った。チェンは彼の息子として生まれ変わり、父親に大事に育てられ、自分の銀貨を取り返したのだ。リーが息子のために使ったのは3千両で、ちょうどチェンからかすめ取った金額だった。

 リーはすべてを失い、生きる気力もなくなった。町をうろつき、人々に天の掟を破れば、後には応報が待っているということを話して回った。リーのみじめな様子を見て、人々はただ首をかしげるばかりだった。

 (翻訳編集・郭丹丹)

関連キーワード
^