大紀元時報
女ひとりで世界一周放浪記 12

「奇跡の国」ルワンダで見えた深い闇 そして闇を照らす光

2016年12月24日 07時00分
ムランビ虐殺記念館。ここで4万5000人に及ぶ人々が殺された(田中美久 撮影)
ムランビ虐殺記念館。ここで4万5000人に及ぶ人々が殺された(田中美久 撮影)
ガイドの女の子との出会いから、ルワンダの抱える闇を一層垣間見ることとなった(田中美久 撮影)

 この記念館で私をガイドしてくれたのは、快活な笑顔が印象的な26歳の女性でした。「どうしてここで働いているの?」と聞くと、彼女は「私は強い精神力を持っているから」と答えてくれました。彼女は4歳の時に家族を虐殺によって失くしました。「この記念館のガイドの仕事は辛くないですか?」と尋ねると、彼女は「ここで働いて8カ月が経つけれど、最初の2カ月間はいつもひどい頭痛がして、展示してあるものを目を開けて見ていられなかった。今は慣れたけどね」と言いました。彼女に色々と聞きたいことはありましたが、どこまで踏み込んでいいか分からず、そこで質問は終わりにしました。

 その時私は、彼女から直接話を聞くことで、虐殺が現実に起こったのだということ、そして今もまだその時の記憶が人々を苦しめているということを痛感しました。

 現地在住の日本人の方も、ルワンダ人が近くにいる場所では虐殺の話は控えるか、「ツチ=T」「フツ=F」などと呼び方を変えて会話をしていました。最近では、親が子供に虐殺の話をするのを控え、その歴史すら知らない小さな子供もいるのだそうです。

 しかし、ルワンダの歴史を学び、ルワンダで出会った方々に話を聞き、知れば知るほど見えてくるのは、ルワンダの闇の深さでした。一見平和に見えるルワンダでは、多くの人が心の闇を抱えて生きています。辛い過去の記憶は消えて無くなることはなく、彼らの苦しみは今も続いています。自分の心の内を中々人に明かさないというルワンダ人ですが、心をえぐられるような辛い日々を送っている人が沢山いるはずです。平和で穏やかそうに見えるルワンダの街を眺めれば眺めるほど、その奥に潜む深い闇を感じ、胸が苦しくなります。

映画『ホテル ルワンダ』の舞台となった老舗高級ホテル「ミルコリン」。虐殺から逃れようとしたツチ族やフツ族穏健派を、ホテルの支配人だったポールが迎え入れかくまい、1268人の命が救われた(田中美久 撮影)

 辛い記憶に苦しみながらも、ルワンダの人々は前に進もうと必死に努力しています。「お互いを憎み合っても何にもならない。あの悲劇を2度と繰り返してはいけない。平和に向かって共に生きよう」と。

 被害者は加害者を赦し、加害者は自身の罪と向き合い償おうとしています。被害者は「私は加害者を赦します」と宣言します。そう言いながらも、憎悪を断ち切り「人を赦す」というのは実際にはとても難しいことです。「家族を殺したあの人が憎い。復讐してやりたい」という気持ち。そして「あの人を赦し、自分の心を憎しみから解き放ちたい」という気持ち。この2つの気持ちの狭間でもがき苦しみながらも、人々は前に進もうと日々努力しているのです。

 現在のルワンダは、ほんの22年前にあの悲劇が起こったことが信じられないほど、急速に発展しています。このことからルワンダは「アフリカの奇跡」とも呼ばれています。ルワンダは、人々の苦悩と努力の上に成り立っているのです。

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