本質を見据えた支援とは

その後、以前に撤去したという地雷を3つ誘発して爆発させ、処理をしました。火を付けてから爆発までの時間は3分。それまでに安全な場所へ移動しなければなりません。私はドキドキしながら離れた場所で見守っていましたが、しばらくして「ドッカーン!」と物凄い音を立てて地雷が爆発しました。とても危険な作業であることを痛感しました。

デマイナーの皆さんは、黙々と息の合った作業を進めていきます。高山さんとデマイナーの間には、確固たる信頼関係が築かれているようでした。高山さんの活動は、住民参加型地雷撤去処理活動と呼ばれています。デマイナーという雇用が生まれ、貧困が減り、地雷撤去のノウハウを身に付けた村人が自ら復興していくからです。
「地雷撤去をするだけではいけない。ゴールはタサエン村の自立復興なのです。いずれ彼らは自分たちで平和を構築していかなければならないのですから」と高山さんは話しました。
ある日、以前から井戸建設の要望があったという地域の視察へ同行しました。本当に井戸建設が必要なのか、実際に見て確かめるということです。地域を管轄する副郡長らと共に現場へ向かいました。タサエン村の中心部から現地まではおよそ2時間。現場に近づくにつれて、舗装されていないデコボコ道が見えてきました。
がたがたする道の終点に辿り着いたのは、奥地にある貧しい村でした。副郡長によると、この村には150の家族が暮らしているとのこと。現地を一目見て高山さんは「ここは井戸建設が必要である」と判断し、要望に対してOKを出しました。村の人たちに声をかけ、皆で記念撮影をしました。現場視察は10分ほどで終了しました。

現場を知ることが、本質を見極める上でとても重要なのだと話す高山さん。「本質を見極めて動けば、このように重要なことも短時間で終わらせることができます」。現場に足を運び、現地の人とコミュニケーションを取り、彼らにとって何が必要なのか、彼らが何を求めているのかを明らかにすることが重要であるといいます。