大紀元時報

反骨のルポライター・杜斌氏(上)中国の暗部にこそ伝えるべき中国の真実の姿がある

2017年05月06日 15時00分
中国の暗部にカメラを向け続けている杜斌氏、氏はこうした暗部こそが中国の真の姿であり、多くの中国人が知らない、または気づいていない一面だと語る(大紀元)
中国の暗部にカメラを向け続けている杜斌氏、氏はこうした暗部こそが中国の真の姿であり、多くの中国人が知らない、または気づいていない一面だと語る(大紀元)

 その結果、一家の写真が7~8紙に掲載されました。その後、彼らのもとに2万元あまりの寄付金が届けられたと聞いています。99年当時の2万元は、決して少ない額ではありません。私の書いた記事が、彼らを助けることになるとは夢にも思いませんでした。本当にうれしかった。その時私は、新聞記者になると誓ったのです。新聞記者になれば、たくさんの人を助けることができると。

 ですが私は、常に市井の人々に関するテーマに関心を持ってきました。
例えば08年の北京オリンピック開催中に、ニューヨークタイムズから身分証明書を発行され、競技を取材するよう言われたのですが、これには正直驚きました。スポーツに関して、私はど素人なのです。結局、行かなくてよくなったのですが。

 当時の北京はピリピリした雰囲気に包まれていて、赤い腕章を付けた人で町は溢れかえっていました。五輪の時には、たくさんの写真を撮影しました。例えば、駅で強制的に北京から追い出され列車に乗車しようとしている出稼ぎ農民です。「明日からオリンピックだ。今日は出稼ぎ農民を北京から追い返さなくては。君たちには北京に居てほしくない」ということです。

 このころ私は、「楊佳事件(訳注)」に注目していました。彼の家はオリンピック会場からほど近く、そのあたりではお祭り騒ぎが繰り広げられていました。楊佳さんは拘束され、母親も行方不明になってしまったのです。

 

 記者 ニューヨークタイムズで働いておられた時、撮影した写真が中国当局の意向に沿わず、問題視されたことはありますか?

 杜斌 08年に法輪功学習者の于宙さんという男性が北京の看守所で死亡するという事件がありました。この情報はネットで見つけたものですが、そのころ于宙さんの奥さんに対する刑も既に確定していたので(面会できず)、于宙さんのお姉さんを探し出して連絡を取ると、約15センチ四方の于宙さんの写真を撮影し、ニューヨークタイムズに掲載しました。

 その後、外交部が記事を書いた新聞記者を呼びつけて不快感をあらわに叱ったと聞いています。記事には見過ごせない内容があり、弁護士など付けられないだの、3000人あまり(の法輪功学習者)を迫害死させただのと、くどくど並べ立てていたと。つまり、記事に不満だったというわけです。

 中国実情を知り、中国共産党がここ数十年で行ってきたことをちゃんと理解している人物であれば、「申し訳ないが、あなたの入国や滞在は許可せず、ビザ申請や更新は却下」。共産党にとって都合の悪いことを報じれば、締め付け上げられたり報道が規制されたりします。

 76年に中・米国交が樹立して以来、一部の外国人記者の中国駐在が可能になりました。ですが通常、当局からの監視は相当です。中国人との接触をぜったいさせません。例えば、中国人に電話して取材の約束を取り付けた場合、当局の人が先に取材相手のところに飛んで行き、取材できないように手を回します。行っても会うことはできません。適当に理由を付けて、連絡不能にします。その人には会えません」

 12年にアルジャジーラの中国系記者が、強制労働収容所に関する動画を報じたところ、大きな反響がありました。政府はこれに立腹し、この記者に中国から立ち去るよう強制しました。その後、アルジャジーラの北京支局のチャンネルは閉鎖されました。

 私が出会った何人かの海外メディアの記者は、国内の中国人に会ったり、中国の出来事を報道したりするとき、まず「この人物と会ったり、この記事を書いたりして、中国政府の不興を買ったりしないだろうか? もしくはこの先、ビザの発給で難くせを付けられたりしないだろうか?」といった具合に自分で自分の記事を検閲していますね。彼らはみな、中国で良いニュースを報道して功績を上げようと思っています。ですから、びくびくしながら仕事をして、中国政府を怒らせるような真似はしないのでしょう。

訳注)楊佳事件:当局に警官の不当な扱いについて訴えた楊佳という男性が、処理結果に納得できず、2008年7月1日に上海市公安局閘北分局を襲撃し、ナイフで職員6人を殺害、5人を負傷させたとする事件。

(翻訳編集・島津彰浩)

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