大紀元時報
インタビュー

反骨のルポライター・杜斌氏(下)数十万もの同胞が餓死

2017年05月15日 07時00分
反骨のルポライター・杜斌氏(下)中国共産党が恐れるジャーナリズム
反骨のルポライター・杜斌氏(下)中国共産党が恐れるジャーナリズム
「長春包囲戦」の図(『長春飢餓戦争』より)

 記者 なぜ、この本を書こうと思ったのですか?資料の収集には困難を極めたと思いますが、どうやって集めたのですか?

 杜斌 国民党の立てこもった長春を林彪指揮下の共産党軍が包囲して、中の人々を餓死させたという事実は、中国ではずっと「敏感な事件」として扱われてきました。南京大虐殺と違い、この事件は中国人自身が数十万もの同胞を餓死させたのです。この本の執筆にはある程度のリスクが伴いました。

 本の中で、私がはっきりさせたかったのは次のような点です。まず、政権を奪うために、なぜ数十万の一般市民を餓死させる必要があったのか。そして、市民たちはどんな風に餓死していったのか。最終的に何人が命を落としたのか。そしてこの作戦の責任者は誰だったのか。この歴史的犯罪の責任を負うべきは誰なのか、といったことです。

 敢えて危険を冒してでもこの本を書こうと思ったのは、私がこの事件をどうしても忘れられなかったからです。私はあの場所で何が起きたかを知ってしまった。もし私がなにも行動せず、口をつぐんだままにしていたら、毎日その事を思い出し、夜も眠れないほどの罪悪感を抱いたことでしょう。まるで、当局から不当に連れ去られ、拘束され、罪に問われた友人を見捨てたみたいに。

 友のために何も記さず、何の声も挙げなかったとしたら、私はそんな自分を恥じるでしょう。一人のカメラマンとして、物書きのはしくれとして、もし何もしなければこんなに恥ずかしいことはない。自分にできることがあるのなら、私はそれをするだけです。

 文献資料を探すのはとても骨が折れることでした。本を書き上げるため、資料収集に10年近く費やしました。古本販売のネットサイトを調べ、「1948長春」、「長春 包囲 東北野戦軍 林彪」といったキーワードで毎日検索を繰り返し、関連する本を見つけたらすぐに購入しました。

 資料収集を終え、この事件をできる限り明らかにしなければ、長春事件のことを忘れることなどできませんでした。忘れ去ってからでないと、他のことに手を付けることができなかったのです。今はもう、この本を執筆し終えて力を尽くしたと実感できましたから、ひとまずはこの件をわきに置いてもいいでしょう。

証拠に基づき記述 証拠がなければ書かない

 記者 『長春餓殍戦』を日付順の記録形式で書かれたのはなぜですか?

 杜斌 執筆中、思うままに書けないもどかしさに苦しさも覚えました。自由に書けば、自分の感情が文中に現れてしまいます。苦悩した結果、「証拠に基づき記述し、証拠が無ければ何も書かない」ということに決めました。そして、文中のすべての記載は根拠に基づき記し、全ての引用部分には出典を付けました。

 最終的に日記形式で当時を再現することにしたのは理由があります。ある日の中国共産党軍は何をしていたのか、蒋介石の軍隊はどうしていたのか、長春城内の一般市民たちは、長春の外で暮らしていた一般市民はどうだったのか。さらに蒋介石は、毛沢東は、上級士官たちは…私は、こうした(当時に生きた人々の)視点を通じて、読み手に当時起きた事実を事細かに示すことにしました。

 『毛主席的炼狱(毛主席の煉獄)』、『毛泽东的人肉政权(毛沢東の人肉政権)』、『天安門屠殺』といった他の本でも、私は日付順の記録形式をとっています。それは、収集した資料は、できる限り原文そのまま用いるべきだと思っているからです。なぜなら、過去の歴史は(現代に)還元する必要があるからです。

 もし私が、こうした資料を土台に好きなように筆を走らせたとしたら、出来上がった本は(元の資料と)違った雰囲気が漂うと思います。もしかしたら、そうしたほうが読者が増えて、大衆受けするかもしれませんが、歴史をありのままに表現しようとするならば、日記形式がより適切な手法だと思っています。

 実は、私が参照した資料の2/3は、政府の公の出版物と党の内部資料なのです。内部資料も国家機密などではなく、元の持ち主が処分して古本として出回っていたものを集めたに過ぎないのです。

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