ギリギリの圧力と条件付き接触 米中の対北朝鮮「アメとムチ」政策

対北朝鮮政策は強硬路線に切り替えているとみられる習政権。中朝を結ぶ貿易の重要ルートである橋を閉鎖するとの制裁を検討しながらも、中国主導の「一帯一路」経済サミットには、北朝鮮代表団を招いた。一見、矛盾しているように見えるが、実はトランプ大統領がここ最近で行ってきた一連の外交手法と共通点がある。
中国と北朝鮮貿易の最重要ルートを閉鎖
中国外交部の消息筋はラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、北朝鮮に対する中国の経済制裁の一環として、中国側が両国を結ぶ中朝友誼橋(鴨緑江大橋)を閉鎖する可能性があることを吐露した。
習政権は北朝鮮への金融制裁や貿易制裁を強めている。今年2月にも、北朝鮮からの石炭輸入禁止措置を取った。中国外交機関の別の関係者も、次に打つ手はこの橋の閉鎖だと語っている。「これは、北朝鮮の核実験準備に対して発した警告であり、北朝鮮が国営メディアで中国を非難したことに対する回答でもある」とこの人物はRFAに述べた。
この橋は、中国と北朝鮮を結ぶ物流のパイプラインとして、友好関係を示す数少ないシンボルの一つ。韓国の聯合ニュースによると、2国間の貿易の半分は、この橋を通過する国際列車やトラックによって行われているという。
RFAの取材に答えた丹東市の消息筋によると、北京当局は現在、北朝鮮向けのすべての貨物に全面的な審査制度を行っているほか、北朝鮮の貿易関係者の人員を削減するよう、北朝鮮に圧力をかけている。もしこの橋が閉鎖されれば、北朝鮮経済にとって致命的なダメージになりうると報じている。
北朝鮮を「一帯一路」サミットに招待
こうした強硬姿勢を示しながらも、北京当局は5月14日から始まった「一帯一路」経済サミットに北朝鮮代表団を招待し、経済関連のプロジェクトへの一層の参与を求めた。中国側が招待したのは北朝鮮をふくむ28国。北朝鮮からは、金英才(キム・ヨンジェ)対外経済相が参加した。
「一帯一路」構想とは、中国が数十億ドルを投資して行う、アジアと欧州やアフリカまでを結ぶ一大経済圏構想。14日のサミット開幕式には、習近平国家主席は、政府系ファンド「シルクロード基金」に新たに1000億元(約1兆6000億円)を増資すると表明した。
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