大紀元時報
カタール断交から過激派組織まで

一帯一路の落とし穴 中東リスク、非効率な中国の投資

2017年06月15日 07時00分
6月13日、イスラム国(IS)に占拠されたシリアのラッカで、難民キャンプにいる少女(DELIL SOULEIMAN/AFP/Getty Images)
6月13日、イスラム国(IS)に占拠されたシリアのラッカで、難民キャンプにいる少女(DELIL SOULEIMAN/AFP/Getty Images)
実は規模の小さい「一帯一路」
投資規模は対外投資総額の9%

 

 実際、中国当局が15年3月末に開催した「ボアオ・アジア・フォーラム」で一帯一路全体戦略を議論しようとした前の14年に、アラビア半島にあるイエメン国内ですでに大規模な軍事衝突が起きた。

 歴史上、シルクロードの要地であったイエメンは現在、イスラム教スンニ派とシーア派が闘争する主戦場となった。イランが支持するシーア派武装組織「フーシ」が、04年から10年までイエメン軍と断続的に戦闘を繰り返した。14年9月に、フーシは首都サヌアに侵攻し、15年1月にイエメンの政府機関を占拠し、政権の掌握を宣言した。

 しかし、サウジアラビアと国連はフーシのクーデターを認めない姿勢を示した。また、サウジアラムをはじめとするスンニ派諸国とその連合軍は国連憲章に基づく自衛権を理由にイエメンへの軍事介入を始めた。

 イエメンでは現在、政府軍とフーシ勢力とアラビア半島のアルカーイダ傘下のアンサール・アル・シャリーアとの間で内戦が続いている。

 この背景に、一部のメディアや学者の間では15年当時、ある特定の状況の下でサウジアラビアとイランが直接的な軍事衝突が発生すれば、一帯一路の実現は非常に難しくなると危惧していた。

一帯一路沿線国の高リスク

 中国当局は、一帯一路構想を通じて、沿線各国が必要とする道路、鉄道、港などインフラ設備を建設し、「利益共同体、責任共同体と運命共同体」の構築を目指すと強調した。このような共同体が形成すれば、一帯一路経済圏は世界65カ国の44億人口をカバーし、世界総生産の4割を占めることになるという。

 しかし中国国営保険大手の「中国信保」が今年4月初めに発表したその65カ国の政治経済・ビジネス環境リスク評価結果によると、評価9段階中、「リスクがやや高い」(カザフスタンなど)を示す5から「リスクが最も高い」(シリア)を示す9までの国の数は全体の84%を占めた。

3月、サウジアラビア王を北京に迎えた習近平中国国家主席(Lintao Zhang/Getty Images)

 「中国信保」は同調査において、一帯一路に3つの課題があると指摘した。1つ目は、一帯一路経済圏がカバーする東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジアそして中央ヨーロッパと東ヨーロッパは皆、列強諸国がそれぞれ勢力拡大のために相手国と格闘する場所であるということだ。

 2つ目は、一帯一路に加盟する国の多くは東西のいくつかの文明および宗教が集まるとことに位置するため、文化間や民族間や宗教間で対立し紛争が起きやすいことだ。ある特定の事件をきっかけに、周辺多くの国に影響を及ぼす可能性がある。

 3つ目は、一帯一路沿い多くの国の内部では、政治の制度転換、経済構造転換と社会改革などの重要な課題に直面しており、政治経済が安定性を欠いていることだ。

 英紙「フィナンシャルタイムズ」は過去の報道で、中国当局の数人の高官の話を引用し、一帯一路構想では、中国当局が収益を望めない非効率的投資問題から同地域の民族・宗教をめぐる紛争までの様々な難題に巻き込まれるだろうとの見解を示した。「一帯一路」は「一帯一陥」になる恐れがある。つまり、シルクロード経済帯「陥穽(かんせい、落とし穴)」になるかもしれないとした。

 同紙も、イスラム教シーア派のイランと、スンニ派のサウジアラビアなどの間で戦争が起きる可能性について強く懸念を示した。両派による軍事戦闘が起きれば、同地域の石油インフラ施設が破壊されると予測されるため、国際原油価格が急騰し、世界経済に影響を与えると同時に、同地域の原油輸出を依存する中国経済にも甚大な打撃を与えるだろうとした。

(おわり)

(翻訳編集・張哲)

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