緊迫の朝鮮半島

レッドラインを超えた北朝鮮の水爆実験、今後米中ロがどう動くのか

2017年09月11日 20時52分

 現在、アメリカ国内に「制裁強化」と「北朝鮮の核保有を容認」の二つの意見がある。

 前オバマ政権で国家安全保障担当補佐官を務めたスーザン・ライス氏は8月米紙・ニューヨークタイムズに寄稿し、北朝鮮の核保有を容認しながら、その使用を防ぐには「伝統的な抑止力を使うことができる」とした。

 いっぽう、強硬派は、北朝鮮が核兵器の実戦配備を止めなければ、軍事行動を主張する。

 ドナルド・トランプ大統領は7日、ホワイトハウスでの記者会見において、北朝鮮問題で「すべての選択肢がテーブルにある」と改めて強調した。また、「われわれが軍事力を行使すれば、北朝鮮にとって悲惨な日になる」と述べた。

 国際社会が、挑発行為を続けてきた北朝鮮に対して、米国が軍事行動に踏み切るかどうかに注目している。

 米国メディアの報道によると、米軍はすでに武力行使を想定し、10通りの作戦計画を作成してホワイトハウスに提出した。しかし、対北朝鮮の軍事行動はあくまで最終手段で、緊急事態の対応措置になる。軍人出身のマティス国防長官に近い情報筋は米メディアに対して、「長官は戦争の残酷さを知っているため、軍事攻撃には非常に慎重だ」とした。

 米国は今後、石油禁輸など最大級の経済制裁の実施と、北朝鮮への圧力強化に中国当局とロシアに引き続き働きかけていくとみられる。特に、北朝鮮の後ろ盾で、最大の影響力を持つ中国当局に対して、貿易問題を切り札に圧力をかけていく可能性が高い。

ロシア 中国と歩調を合わせるか

9月10日、統一地方選が行われ、プーチン大統領も投票(YURI KADOBNOV/AFP/Getty Images)

 中国とロシアはこれまで、国連安全保障理事会(安保理)で北朝鮮に対する制裁決議採択に反対し続けてきた。北朝鮮当局が3日に「水爆実験が成功した」と伝えられると、ロシア政府も中国当局と同様に、強い口調で非難した。

 しかし、4日の国連安保理緊急会合で提案された北朝鮮への石油禁輸を含む制裁強化に、中国とロシアは一貫して反対し、対話による解決を強調した。中ロは、制裁強化と軍事行動で金政権が崩壊し、朝鮮半島と周辺国の情勢が混乱に陥ると危惧している。

 北朝鮮と、ロシアの前身であるソ連との間で1961年に「ソ朝友好協力相互援助条約」を結び、軍事同盟を締結した。1991年にソ連が崩壊した後、ロシアは96年に同条約を破棄したが、ロシアと北朝鮮は「ロ朝友好善隣協力条約」を2000年に正式調印した。軍事同盟関係がないものの、友好関係を維持した。

 ロシアは、極東国境が北朝鮮と隣接するため、北朝鮮政権が崩壊し米国と韓国の主導で朝鮮半島が統一すれば、アメリカなどの軍事的影響がロシアまで及ぶことを警戒している。北朝鮮はロシアと中国にとって、米国勢力の拡大を防ぐ「緩衝地帯」となっている。

 「日本経済新聞」中国語電子版(4日付)によると、ロシアの軍事専門家ワシリー・カーシン(Vasily Kashin)氏は、「中国が北朝鮮への圧力を強めれば、ロシアも追加制裁に賛同するようになる」と指摘した。同氏は、ロシアは国際社会での孤立を避けるため、中国に歩調を合わせるだろうとの見方を示した。

北朝鮮の狙うものは?

関連キーワード

関連特集

^