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NZ中国出身国会議員のスパイ疑惑 諜報活動に詳しい元中国外交官が分析

2017年09月17日 13時00分

 陳氏はシドニー駐在中国領事館在職中の2005年、オーストラリアに亡命した。在職中、中国人スパイを管理する立場だった。陳氏によると、

 「中国では軍直属の大学に入学すれば、軍人になる。空軍工程学院を卒業時、中尉だったはず。その後も教員として大学にとどまったため、当時は現役軍人扱いだった」。

元外交官に聞く中国共産党による
オーストラリアへの浸透工作

 楊議員が主張する文民について、「文民の概念が導入されたのは2013年。それまで軍の教育機関は軍隊として管理されていた。楊議員が利用したAusAID奨学金プログラムは、中国政府の推薦が必須だった」と述べた。

 楊議員はオーストラリア国立大に在学中、キャンベラ学生学者連合会の主席を務めていた。同会は中国大使館が留学生の動向を監視するための団体でもある。「楊議員は中国共産党の信頼を得ている」と陳氏は指摘する。「中国共産党は、留学生団体から素質のある人をスパイとして選んでいる。楊議員がスパイである可能性は高い」。

 中国官製メディア・人民日報は、楊議員が国会議員に初当選したことについて、「中国で高等教育を受けた後、欧米の与党議員になった初の中国人」と持ち上げた。

 同議員の活動にも「中国」がキーワードとなっている。さまざまな中国政府系企業のニュージーランド進出事業のパイプ役を買って出た。乳業大手、内蒙古伊利実業集団(伊利)と政府系・蒙牛集団のニュージーランド粉ミルク生産工場、中国政府系の大手インフラ企業、北京首都創業集団によるニュージーランドの廃棄物処理会社の買収、投資会社、上海鵬欣によるニュージーランドの酪農大手企業の買収などなど。

 「国土があってこそ国がある。中国資本がニュージーランドで企業買収と用地取得を展開しているが、ニュージーランドにとっては鶏を殺して卵を取る行為。楊議員の中国企業誘致活動によってニュージーランドは長期的利益を失ってしまった」と陳氏は述べた。

 楊議員は高い資金集め能力で、国民党の中で評価が高い。ニュージーランドの中国語メディアによると、楊議員は今年、650人の中国人が参加したパーティーを開き、130万ニュージーランドドル(約1億円)の政治資金を集めた。当時、大手メディアは中国人コミュニティーを国民党の「ATM」だと揶揄していた。

 陳氏はこれまでの勤務経験を踏まえて、楊議員が得た政治資金の多くは中国共産党中央統戦部傘下「平和統一促進会」や、中国共産党と深いつながりを持つ中国人富豪から寄付された「赤い献金」だとみている。

 「これは中国共産党の海外浸透戦略の一部。中国共産党の金銭的支援を得て国会議員になった楊議員はニュージーランドにとって紛れもなく脅威的な存在だった」。

日本でも中国スパイが暗躍 

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