大晦日 三千本の竹灯篭の暖かい灯り 宮若市「清水寺の竹灯籠」

福岡県宮若市の山あい、黒丸地区にある清水寺で、30日、31日と竹灯籠イベントが開催されている。気候条件があえば、元旦に雲海を望みながら初日の出も見ることができるようだ。
灯篭を製作手がけるのは地元の有志「黒丸むらおこしの会」。1本1本、手作業で竹に飾り彫りを施し、資材の調達から資金の工面、飾り付けやイベントの運営まですべてを担っている。
東日本大震災をきっかけに、この黒丸の地から日本を応援したい、そしてこの黒丸地区を盛り上げようと始まった地域おこしのイベントで、今では清水寺の年越しイベントとして定着している。

年の世相を反映する趣向を凝らしたデザインも見どころで、見事な竹灯籠を観賞しようと、山深くにあるお寺にも関わらず多くの人が訪れている。
大晦日だけではもったいないと、ここ数年は2日間の開催となっており、新年を迎える時までロウソクの火が揺らぎ、日暮れ前から来てスタッフと一緒にロウソクの着火を楽しむ家族連れも多いようだ。3000本もの竹灯籠は、節ごとにロウソクが置かれるため、その数も膨大。

竹灯籠に全て火が灯されると、辺りは一気に幽玄の世界へ・・・。静かにこの一年を振り返り、新たな年に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
この清水寺は、750年に聖武天皇の勅願所として行基が建立したとされる由緒あるお寺で、本堂に安置されている木造十一面観音菩薩坐像(鎌倉時代)は、福岡県重要文化財にも指定されている。
また、雲海の眺望スポットとしても知られており、西山の中腹約200メートルの高さにある寺からは、眼下に盆地が広がり、前日が雨などで湿度の高い早朝には、幻想的な雲海が見られる。天候がよければ、雲海から昇る初日の出を拝めることができ、年始めの「インスタ映え」も期待できるかもしれない。

(大道修)