THE EPOCH TIMES
中国伝統文化百景

道を失って堕落した殷からの誡め

2018年01月20日 17時00分

 『国語』晋語によれば、史蘇(史官の蘇)が大夫たちに女戎に警戒せよと注意している。彼のいうには、乱は必ず女戎、すなわち色香をもって攻める女性兵が端緒となり、王朝は崩れていく。夏も殷も周もみなそうであった。殷の辛が有蘇を討ったが、有蘇が妲己を献上した。殷の辛は妲己の色に耽っていたため、殷が滅ぼされたのだと指摘する。

 中国の婦女の事跡を記述する伝記的史書『列女伝』(漢の経学者・文学者の劉向の著)孽嬖伝に、妲己についての記載がある。内容は『史記』などと大同小異であるが、儒教道徳を基準にした女性のための教科書においても、あえて妲己を取り入れたことからも、妲己による攪乱の甚大さやその教訓の深刻さがうかがえる。

 妲己は古来、妖狐であると伝えられている。元代の歴史講談小説『全相平話』の一節「武王紂を討つ平話」の中で、妲己はきつねの成り変わりとされ、『千字文』の「周が殷の湯を討つ」の注で、国を傾けた妲己は実は九尾狐であり、紂を誘惑したとする。明代の小説『封神演義』では、妲己は千年の狐狸の精として登場している。その千年の狐狸の精は、冀州侯の蘇護の娘、蘇妲己の魂を奪って妲己になりすまし、紂王を堕落させ、殷の朝廷をさんざん撹乱し、殷を滅ぼしている。

 こういった記載や伝説により、妲己は中国文化思想において、単に美しい悪女、魅惑的な女性であるだけではなく、男を狂わせた妖女、すなわち倫理道徳を堕落させ、人々を惑わすための妖狐であるとされている。この造形はもはや不動のものになり、中国通俗文化において警告の作用と意義がきわめて大きい。

(2016年4月8日の記事を再掲載致しました)

                                                                (文・孫樹林)

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