中国人留学生の産業スパイ活動 米当局者「共産党政権の使い捨て」

2019/02/06
更新: 2019/02/06

米連邦大陪審は1月24日、昨年米司法省にスパイ容疑で逮捕された中国人元留学生、紀超群(Ji Chaoqun、音訳)氏を起訴した。紀氏は2月1日米連邦裁判所に出廷した。米連邦検察当局によると、紀氏は中国情報機関のために働き、米国内の技術者や研究者を中国情報機関のスパイにするスカウト活動をしていた。

起訴状によると、米連邦捜査局(FBI)は、2015年当時イリノイ工科大学で電気工学を専攻していた紀氏が、中国情報機関の幹部宛てに送った「中間テストに関する問題」と題した電子メールを入手した。電子メールの内容は専攻科目のテストと関係のないものだった。紀氏は同電子メールのなかで、米国に住む台湾や中国出身の技術者ら8人の情報を書き込んだ。8人のうちの7人は国防事業の下請け企業での勤務経験がある。

昨年9月、米捜査当局は紀氏の「上司」にあたる中国情報部員を逮捕した。同部員は、中国国家安全部傘下組織、江蘇省国家安全庁に所属する工作員だ。

2016年大学を卒業した紀氏は、米軍の「MAVNIプログラム」に応募した。米軍はこのプログラムを通じて、軍が必要とする技能を持ち、米の国益に不可欠な外国籍の人材を受け入れている。紀氏は同プログラムの申請手続きや面接の際、過去7年間は外国政府と接触はないと主張していた。

イリノイ州シカゴ市にある連邦地方検察当局によると、紀超群氏は2月1日の公判でスパイ容疑を否定した。

中国当局は、紀氏の逮捕・起訴についてコメントを控えている。

中国当局に使い捨てされた留学生

米情報当局の幹部や国会議員らは、中国当局が世界覇権を握るために、米研究機関や企業の技術情報を入手するために中国人留学生を利用していることに強い危機感を抱いている。米CNN2日付によると、毎年中国から約35万人の学生が米に留学している。

情報当局は、中国人留学生の多くは当初スパイ活動の目的で入国したわけではないにもかかわらず、留学中に中国当局から制約を受けていると指摘した。

CNNによると、米政府関係者は「問題は中国当局にあり、留学生にあるのではない」と強調した。対中のスパイ防止活動の目的は、「学生が米国に来た本来の合法的な目的(米国で勉学すること)を確保するためにある」という。

情報当局者や国会議員らは、中国当局が巧みに民族主義を利用し、国民に忠誠を誓わせ、国民にスパイ活動を強いていると非難した。

上院情報特別委員会(Senate Select Committee on Intelligence)のマーク・ウォーナー(Mark Warner)議員は、「中国共産党政権が国民に対して絶大な支配権を持っている。これを認識しなければならない」と述べた。

米情報当局関係者は、中国当局はスパイ活動をした留学生を使い捨てていると指摘した。

中央情報局(CIA)元幹部のジョー・オーガスティン(Joe Augustyn)氏によると、中国当局は厳しい訓練を受けた工作員ではなく、戦略的に一部の留学生を選んで米大学に潜り込ませているとの見方を示した。選ばれた留学生は、大学の「内部スパイ」や「隠された影響者」になったという。理由は、「諜報活動が失敗したとしても、中国当局は関与を否認し、工作を実行した留学生を見捨てることができるからだ」とオーガスティン氏が分析した。

米政府は過去10数年間、外国の情報機関が留学生や米大学の職員を利用して、米のハイテク技術を取得することを危惧してきた。トランプ政権は、学生ビザ(F1ビザ)の審査をさらに厳格化することを検討している。

司法省は2017年8月以降、宇宙航空やハイテク技術を窃盗したとして、一部の個人と企業を起訴した。

(翻訳編集・張哲)