米財務長官、FRBに緊急融資プログラムの未使用資金返却を要請

[19日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は19日、連邦準備理事会(FRB)に対し、3月の新型コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づいて割り当てた資金のうち未使用分を政府に返却するよう要請した。
ムニューシン長官はパウエルFRB議長への書簡で、資金の返却により、議会は返却された総額4550億ドルを景気対策に回せるようになると説明した。
CARES法に基づき、FRBには、企業や非営利団体、地方政府への緊急融資のための資金が割り当てられた。
長官は、これらの危機対応プログラムの大半を12月31日で終了するよう要請。緊急プログラムが「万が一」再び必要になった場合には、FRBは財務省に資金を要請できるとした。
FRBの緊急融資プログラムはほとんど使われていないが、多くの米企業を保護するセーフティーネットの役割を果たしてきた。
FRBは19日の声明で「いまなお厳しい状況にある米経済を保護する重要な役割を果たすため、コロナ禍で構築された緊急ファシリティーがそのまま継続されることを望む」と表明した。
ムニューシン長官の発表を受け、市場には動揺が広がった。米10年債利回り<US10YT=RR>は2ベーシスポイント(bp)低下し、0.83%と10日ぶりの低水準を記録。S&P500種Eミニ先物<ESv1>は0.7%安。
ムニューシン長官は、短期社債市場など主要な金融市場向けの一連の資金供給プログラムについては90日間の延長を認めた。
ただ、新型コロナの感染拡大が続く中、失業が増え、重要な事業部門が打撃を受けており、FRB当局者らは相次ぎ、経済はまだ危機を脱していないと強調している。
共和党のパット・トゥーミー上院議員は、財務省の決定を歓迎すると表明。「これらのファシリティーは意図された目的をうまく達成した」とし、「流動性が改善したことを踏まえ、議会が意図した通り、また法で求められる通り、2020年12月31日で終了すべきだ」と述べた。同議員は共和党が上院多数派を維持した場合、FRBを監督する上院銀行委員会の委員長に就任するとみられている。
一方、コンパス・ポイント・リサーチ・アンド・トレーディングの政策調査担当責任者、アイザック・ボルタンスキー氏は「FRBはワシントンで唯一の安定性の源の1つだ。不安定な回復を支援するFRBの裁量を取り除くことは、全くばかげている」と指摘。
「市場に不透明感や不安定性をもたらす悩ましい展開だ。この危機への対応で米政府はいったい何度つまづくのか」と続けた。
*内容を追加しました。
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