トランプ氏への言論封殺、矢板明夫氏「主流メディアを弾劾すべき」

2021/01/15
更新: 2021/01/15

米SNS大手のツイッターとフェイスブックは、暴力を扇動したとして、トランプ大統領のアカウントを無期限に凍結したことについて、「デジタル全体主義」と批判の声が上がっている。産経新聞の矢板明夫・台北支局長は13日、ソーシャルメディアによるトランプ大統領への言論封殺は「正当でない」とし、「弾劾されなければならないのは米主流メディアだ」との見方を示した。

一部の抗議者が1月6日、大統領選挙の投票結果の承認が行われていた米議会議事堂に侵入した。ツイッターとフェイスブックは、トランプ大統領がこの暴力事件を煽ったとして、大統領のアカウントを永久停止した。また、大統領が利用するSNS、パーラー(Parler)に対して、IT大手のグーグルとアップルは、暴力扇動を防止することを理由に、パーラーをアプリ・ストアから取り下げた。新唐人テレビの時事番組に出演した矢板氏は13日、中国当局のデジタル全体主義が米国で行われていることについて、「非常に残念だ」と話した。

中国北京に10年間駐在した矢板氏は、当時中国当局は米国の主要メディア、フェイスブックやツイッター、グーグルを封殺したため、民主化を求める多くの中国国民は、当局のネット検閲を回避して、海外のSNSにアクセスしたと紹介した。同氏は、メディアは「さまざまな意見を反映する場所である」との認識を示し、トランプ大統領への言論封殺は、言論の自由を主張するソーシャルメディアの「価値観」に反すると批判した。

矢板氏は、米議会議事堂の暴力行為を非難した一方で、強権の圧政に、占拠などの行動で不満を示したことは近年、各国で複数回起きたと指摘した。2011年、米国でのウォール街占拠運動、14年、台湾の若者が立法院(国会議事堂に相当)を占拠したひまわり学生運動、同年、香港の占中(オキュパイ・セントラル)運動に対して、当時メディアは高く評価していた。

また、同氏は6日の米議会議事堂の侵入について、緊急事態が起きていないにも関わらず、トランプ支持者に発砲した米警察当局を糾弾した。メディアがその責任をトランプ大統領に押し付け、大統領を集中攻撃したことは、「非常に不適切だ」と同氏は述べた。

矢板氏は、メディアの不公平な報道によって、今回の米国大統領選挙において米社会に大きな分裂が生じたとした。「米国で今日のような状況が起きたのは、主流メディアに非常に大きな責任がある。弾劾されるべきなのはトランプ大統領ではなく、これらの米国の主流メディアだ」と同氏は語った。

また北京駐在時代、中国共産党政権の言論弾圧に対して「ニューヨーク・タイムズやCNNなどの米国主要メディアと共に戦った」「私たちは、中国当局の圧政を受けている人々の声を(国際社会に)伝えることを共通の使命にしていた」とも述べた。

野党民主党が多数占める米下院では13日、トランプ大統領に対して、2度目の弾劾訴追する決議案を可決した。

矢板氏は、弾劾訴追は、トランプ政権の政策が今後も受け継がれるかどうかを示す重要なポイントだとした。トランプ大統領は弾劾され、「トランプ大統領は失敗した大統領と見なされ、大統領の政策は否定されるだろう」という。

「トランプ大統領は中国共産党政権を主要な敵と捉え、中国に妥協しなかった。同盟国とともに中国当局に包囲網を敷き、中国の対外拡張を抑制した」

また、トランプ大統領の外交政策の特徴に関して、「すべてのことを公開したことだ。透明度が高く、裏の取引がなかった」と矢板氏は示した。

「クリントン氏、オバマ氏、ブッシュ氏(息子)を含む多くの大統領は、外交政策において裏の取引を行い、利益を得た。したがって、民主党がトランプ大統領の政策方針を否定することで、米国は今後、ニクソン大統領の『パンダをハグする(親中)路線』に戻るだろう」

(翻訳編集・張哲)