大紀元時報

迫る全体主義の危機

2021年02月06日 06時00分
バイデン米副大統領と習近平中国国家副主席(いずれも当時)は2012年2月14日、ワシントンのホワイトハウスで握手を交わした。(Chip Somodevilla/Getty Images)
バイデン米副大統領と習近平中国国家副主席(いずれも当時)は2012年2月14日、ワシントンのホワイトハウスで握手を交わした。(Chip Somodevilla/Getty Images)

1月5日の米国ジョージア州上院議員決選投票で、民主党が2議席とも確保し、上院で民主党が過半数(議長の副大統領票を含む)を確保した。1月6日にはジョー・バイデンが正式に次期大統領として議会に承認された。これで、大統領は民主党、議会も上院、下院ともに民主党が過半数というトリプルブルーの状態が確定した。日本にとっては悪夢である。

前回のコラム『独裁国家中国の弱点』で述べた通り、米国民主党と中国共産党は、ともに無神論者という共通点があり、それが両者の相性の良さにつながっている。良心の呵責がなく、自らの欲望・快楽を満たすことだけに関心がある。米国でハニートラップにかかるのは、ほとんどが民主党の議員である。

米国の民主党と、それを応援している米国のメディアと学界は、中国には甘いが日本には非常に厳しい。1月7日のチャンネル桜の討論番組で、私は麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授と共演したが、そこで彼は英語圏のメディアや学界は日本人に対して人種差別的な考えを持っていると語っていた。そこで、中国人も日本人と同じ黄色人種だが、米国が中国に対して甘いのはハニートラップや裏金による工作があるからかと私が問うたところ、モーガン氏はその通りだと答えた。

日本も中国と同じようにハニートラップ工作をすれば米国の左翼も態度を変えるかもしれないが、それは日本のとるべき道ではないだろう。そんなことをすれば、日本に友好的な共和党系の人々を敵に回すことになる。前回述べた通り、共和党には敬虔なキリスト教信者が多く、彼らは中国のやり方を嫌悪している(ミッチ・マコーネル上院議員のような例外もあるが)。

では、どうすればいいか。私は昨年10月5日の段階で、以下のようなツイートをした。

トランプ再選が危ない。親中派のバイデン大統領になったら、日本は本気で安全保障を見直さねばならない。さらに上院も民主党に取られたら最悪の事態。米国に国防を頼れなくなる。私は改憲慎重派だったが、意見を変えねばならないだろう。国防意識を抜本的に変えないと、次世代が共産主義の餌食になる。

ところが、日本の保守派には危機感がなかった。井沢元彦氏が言うように、日本人は歴史的に言霊思想にとらわれており、「縁起の悪いこと」を考えたがらないので、危機管理が苦手という欠点がある。バイデン当確の選挙結果が出た後も、保守派の多くは選挙不正を理由にトランプが逆転できると信じて疑わなかった。そのため、トリプルブルーという最悪の事態にどう備えるかを真面目に考えてきた保守派は、今の日本にはほとんどいない状況である。これは非常に危険な状態である。

私は昨年12月1日のコラム『今必要なのは「中国から国民を守る党」』で、日本がこれからとるべき道を論じている。今こそ、この実現に向けて動き出さなければならない。まず始めるべきは、米国の後ろ盾がなくても中国の侵略を防げるだけの防衛力をつけることである。新型コロナウイルスの流行で三次産業が打撃を受けているが、単に補償金を配るよりも、営業できない人たちに防衛産業で高給の雇用を提供する方が遥かに生産的である。二次産業ならば三次産業と違って経済活動と感染防止を両立できる。

こうした政策を実現するためには、できるだけ多くの国民に、日本は米国民主党と中国共産党という2つの巨大な敵に挟まれたという自覚を持ってもらうことが必要である。しかしながら、この両者が日本の敵であるという認識を持つ日本人は多くない。特に前者については、その認識を持つ人が少ない。

米国民主党の恐ろしさを日本人に伝える最も有効な手段の一つは、彼らが原爆を使って日本の無辜な市民を何十万人も虐殺したことを思い起こさせることだ。それだけでなく、東京大空襲などの日本各地の市街地空襲でも民間人を大量に殺害した。これは当時でも国際法に違反する残虐行為である。ルーズベルト政権には大量の共産主義者が入り込んでいたことが知られている。民間人を何の躊躇もなく大量虐殺するその姿勢は、スターリンや毛沢東、ポル・ポトなどの共産主義指導者と重なる。

さらに、ビッグ・テックと呼ばれる大手インターネットサービス企業が、トランプやその周辺の人物のアカウントを停止し始めたことも、米民主党が支配する世界の恐ろしさを感じさせるには十分だ。このことは、SNS使用頻度が多い若者に左翼の本質を伝える力を持つだろう。

そもそも、トランプ大統領自身は暴動を扇動する発言をしていない。間接的に暴動につながったとしても、それならばアンティファやブラック・ライブズ・マター(BLM)の関連サイトはとっくに閉鎖していなければならない。左翼の暴動は良い暴動、保守系の暴動は悪い暴動というその姿勢は、左翼に支配されたビッグ・テックが特定の政治思想を狙い撃ちにして平然と弾圧することを雄弁に物語る。

米国の大手メディアも、大統領選の投票日までは、トランプ大統領が有利にならないように、ハンター・バイデンの不祥事や新型コロナウイルスのワクチン開発が順調なことを報道しないなど、あからさまな情報統制を続けてきた。こうした情報統制こそが、左翼全体主義の本質である。米国が中国化しているといっても過言ではない。

一方、中国の危険については、ここの読者に対してはあらためて論じるまでもないだろう。しかしながら、一般の日本人が中国の危険を本当に理解しているかどうかは疑わしい。たしかに各種アンケートでは、日本人の8割から9割は中国に対して悪い印象を持っていると答えている。しかし、その「悪い」の中身が十分理解されていない可能性がある。ご存じの通り、日本の大手マスコミは米国の主流メディアと同様、中国共産党の影響下にある。よって、テレビなどの大手マスコミにしかアクセスしない人は、中国の本当の恐ろしさを知る機会がない。

まず思い起こさせるべきは、新型コロナウイルスは中国がその感染力に関する情報を隠蔽したまま中国人を大量に外国に送り出したことを通じて世界に広がったという事実である。中国が外国への人の動きを止めていれば、世界中で200万人の死者をもたらす大惨事は防ぐことができたのである。これが未必の故意による殺人と言えることは、昨年4月コラム『新型コロナウイルス問題 中国共産党との戦い方』で述べた通りである。ところが日本人の多くは、この疫病を単なる自然災害だと思っている。これは親中マスコミによる偏向報道によるところが大きい。

しかし、中国政府がWHOによるウイルスの起源に関する調査受け入れを拒否したことにより、世界の世論は変わりつつある。昨年7月のコラム『新型コロナウイルスの科学 日本でほとんど報道されない情報』で述べた通り、新型コロナウイルスは武漢ウイルス研究所から流出した可能性が高いことは、一部の専門家が指摘してきた。調査受け入れ拒否を機に、それを声高に言い出す人が増えている。よって、新型コロナウイルスによる被害の責任を中国に問う声は今後ますます高まるだろう。日本もこの流れに乗れば、中国に対する国内世論はより厳しいものになるはずだ。

新型コロナ問題に限らず、中国共産党が現在進行形で行っている数々の悪事を、できるだけ多くの人に知ってもらう努力が必要だ。その意味でクライブ・ハミルトン著『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』がベストセラーになったことは心強い。昨年12月に出版された続編『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』には、カナダ・米国・英国など、オーストラリア以外に対する中国の浸透工作の実態が書かれており、これも広く読まれることが期待される。

さらに一つ朗報がある。私がここで書いてきたコラムと雑誌正論や産経デジタルで書いた論考などをまとめた拙著『人類の敵 共産主義勢力から自由を守る方法』が1月25日に集広舎から出版される運びとなった。この本が、より多くの人に共産主義の恐ろしさとそれへの対処方法を知ってもらう一助となることを願っている。


執筆者:掛谷英紀

筑波大学システム情報系准教授。1993年東京大学理学部生物化学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究員を経て、現職。専門はメディア工学。特定非営利活動法人言論責任保証協会代表理事。著書に『学問とは何か』(大学教育出版)、『学者のウソ』(ソフトバンク新書)、『「先見力」の授業』(かんき出版)、『知ってますか?理系研究の"常識"』(森北出版)など。

※寄稿文は執筆者の見解を示すものです。
※無断転載を禁じます。

ご寄付のお願い

クレジットカード決済

※銀行振込での単発寄付はこちら
関連キーワード
LINE NEWSに『中国の今を伝える 大紀元時報』を登録する方法
" async> %>
^