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「秋は乾燥にご注意ください」漢方医おすすめ、体を潤す食物2種

爽やかな日本のは、多くの人にとって好ましい季節と考えられています。
 

雨、人を愁殺す
 

そう言えば、「」の字を見て思い出す、歴史上の人物がいます。
中国最後の王朝となった満州族の清朝は、存外長く生き延びて20世紀初めの2012年まで続きます。その最末期には、当然ながら、滅満興漢のスローガンを掲げて清朝打倒を目指す、漢族の革命家たちが活発に活動します。
 

その中に、瑾(しゅうきん)という女性烈士がいました。
 

明治時代の日本に留学した瑾の、和服に日本髪、右手に日本刀をかざして凛と立つ写真は、その美貌とともに、よく知られています。烈士の称号が示すように、瑾は2007年7月に、計画していた武装蜂起を実施する前に捕えられ、処刑されます。
 

詩人でもあった瑾の遺句「雨、人を愁殺(煞)す」は、あまりにも有名です。その言葉のとおり、は、その風も雨も、どこか寂しげで、人の心に憂いをもたらします。
人を「愁殺する」とは穏やかではありませんが、確かにには、何やら心が湿潤を求めるような、「乾き」にも似た不安感があるのかもしれません。
 

は「乾燥」にご注意ください
 

もう暑くなく、まだ寒くもないは、快適な季節なのですが、漢方医学の観点からすると、一つだけ心配されることがあります。
 

それが今申し上げた、思いがけずに進む「乾燥」です。
漢方でいう乾燥は、単に気候の湿度だけではなく、特定の臓器や体の機能が「潤み」をなくして不調をきたすこと、つまり病気に向かおうとする未病(みびょう)の一種ですので、注意が必要とされるのです。
 

乾燥した気候のため、咳が出たり、便が硬く通じが悪くなるなどの症状が起こりやすくなります。そのため、体に「潤み」をもたせることはの養生の重点となります。
漢方医は、通常の水分補給のほかに、蓮根レンコン)やなどの「白い食物」を食べて症状を改善することを薦めています。
 

乾燥による咳、つまり乾咳は、風邪の咳と異なり、痰が出ないので区別できます。ただ、そのような初期の判断を誤ると、その後の処置まで適切でなくなってしまいますので、お気をつけください。咳が出ても、発熱による頭痛や喉の痛みがなければ、乾燥によるものですので、温水を飲むなどの水分補給で改善するはずです。
 

漢方医学では、乾燥による体への悪影響を「燥邪」と呼びます。燥邪は肺を傷つけるため、喉や気管支などの呼吸器にも、乾燥による荒れが生じます。
 

また消化器系と表裏一体であり、腸、目、口などの部位にも不快感が現れやすいと言われています。例えば、便秘乾燥による皮膚のかゆみ、目のかゆみ、口角の炎症などです。
 

そのほか「に注意すべき症状」
 

夏にたまった疲れが、になって出る場合があります。病気ではなく単なる疲労ですので、十分な休息、良質の睡眠をとれば改善します。
 

ただし、の夜に、遅くまでスマホやパソコンから離れられず、ゲームなどに熱中することは避けてください。それをすると、確実に疲労がたまり、翌日の仕事や勉強に影響するばかりか、やがて本当の病気をまねくことになります。
 

は、冬を前にした季節ですので、冬眠前の熊と同じく、体の代謝が遅くなります。
熊ならば体に栄養分を蓄える必要性があるのでしょうが、人間の場合は、ただ太ってしまいます。それが肥満となり、健康を損ねる原因にもなるため、おいしさのあまり過食にならないよう、自分で努めてコントロールしましょう。
 

鍋物の最後、残ったおいしいスープにうどんを入れて完食するのは、確かに幸せなフィナーレですが、そこはぐっと我慢して、明日の楽しみに回してください。
 

おすすめは「レンコン
 

明の李時珍(りじちん)が編纂した『本草綱目』は、本草学(薬学)の一大叢書です。
『本草綱目』によると、蓮根レンコン)は霊根とも呼び、食事療法の重要な食材になります。蓮根は肺経、心経、脾経に入って、それぞれ異なる作用を発揮しますし、用途によっては生食もします。
 

生のレンコンは冷たいので、これを食べることで熱のある病人の熱を冷まし、鬱血を散らすことができます。口腔と舌が乾いている人、鼻粘膜が乾いて鼻血が出やすくなっている人も、よく洗ったレンコンをスライスまたはみじん切りにして、生で食べることで改善できます。
 

もちろん、レンコンは煮て調理してから食べるのが一般的です。そのようにすると、腸内を潤し、便秘を改善する効果が期待できます。
 

とくに高齢者は、乾燥を原因とする便秘になりやすいうえ、排便時に息むことが難しい場合があるので、レンコンを柔らかく調理した煮物を食べさせてあげてください。その際、砂糖ではなく、レンコンと相性の良い蜂蜜を甘味に使うと、お年寄りの体力増強にもなります。
 

ただ、レンコンはデンプン質の食材ですので、大量に食べる必要はありません。特に糖尿病などで食事療法をしている人は、レンコンを食べ過ぎて糖質オーバーにならないように注意してください。
 

レンコンは繊維質の豊富な食材で、便秘改善には非常に有効なのですが、「だからといって、食べ過ぎてはいけない。お腹が張る」ということを、お忘れなきようお願いします。
それからの果物、
 

水分が豊富で、水ばかりのように見えますが、漢方では見事な作用を発揮します。呼吸器系に入れば、肺を潤し、からむ痰を除去して、咳を鎮めます。
 

目を潤す効果もあり、ドライアイを改善することができます。水分と繊維質が豊富なは、腸にもよく、便通をよくして便秘を改善します。
 

なお、をはじめ、しっとりした湿性の食物は往々にして冷たいものが多いので、体を冷やしすぎないため、夏のスイカのように冷さず、常温のまま食べたほうが良いでしょう。
 

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)