大半の米有識者、台湾有事で米軍出兵を中国は想定=CSIS調査

2022/09/23
更新: 2022/09/24

米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が19日発表した調査によれば、大半の米有識者らは、台湾を侵攻した際の米軍出兵を中国は想定していることがわかった。バイデン米大統領は18日のテレビ番組インタビューで、4度目となる米軍の台湾防衛関与に言及した。

調査は、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行った後の8月10日から9月8日にかけて行われた。対象者は共和・民主両党の元政府関係者や政策アナリスト、中国や台湾問題に精通する専門家ら64人。

調査によれば、回答者全員が中国は台湾を侵攻した際に米国が政治的、経済的支援を行い、米軍を派遣して台湾防衛に関与すると予想している。また約8割が、台湾が独立を宣言した場合、中国は「直ちに」台湾へ軍事攻撃を行うと答えた。

ただし、中国が予想する米国の関与の程度については意見が割れた。30%は、「米国はコストを考慮しつつ台湾防衛に関与する」と中国は予測していると回答。一方66%は、「米国はいかなる損害も顧みずに干渉してくるが、その範囲をインド太平洋地域にとどめる」と中国は予測すると答えた。

中国の台湾侵攻のタイミングについては、2049年以前に中国が動くと考えるものは44%、今後10年以内に中国が台湾に上陸作戦を仕掛けるとするものは63%となった。

調査結果が発表される前日の18日、バイデン氏は米CBSテレビの独占インタビューで、中国が台湾を侵攻した場合、米軍は台湾防衛に関与すると述べた。これで、台湾有事の際の米軍の関与については4度目の発言となる。

中国外交部の毛寧報道官はこの発言を受け、米国は台湾独立派に誤ったメッセージを発している、と強く反発した。

平和統一シナリオの模索も

そのほか、80%は、8月のペロシ下院議長の訪台後に中国が行った大規模軍事演習は、中国の武力行使の計画が早まったことを示すわけではないと答えた。

米中央情報局(CIA)のコーヘン副局長は16日、情報国家安全保障連盟がワシントン郊外で主催した会議で、習近平主席は中国軍が2027年までに台湾を武力制圧できる実力をつけてほしいと考えているが、戦わずして勝つ方法も模索していると米国は見ている、と述べた。

7月には、CIAのバーンズ局長が、コロラド州で開かれた「アスペン安全保障フォーラム」の年次会議でも同様の考えを示している。

調査対象となった専門家らの多くが、習近平氏は平和統一の道が残されていると思っており、それを第3期の優先達成事項とする、という意見で一致している。

第20回党大会を前に、中国共産党は台湾統一の実現を改めて強調している。21日、台湾政策について記者会見を開き、統一を阻む勢力との「闘争」を続けると訴え、米国を牽制した。共同通信20日付によれば、党大会開幕日に読まれる活動報告草案では、習近平氏の目標として台湾統一をより明確に位置付ける方針だという。

米国元政府関係者で、習近平氏があらゆる平和統一のための手段を使いきったと考えるものはいないと指摘。また8割以上が、2027年までに習近平氏は台湾に武力侵攻しないと見ている。

一方で、中国の台湾平和統一に関して、80%は中国は一貫した戦略や計画を持っていないと分析している。また、84%は中国が台湾統一を一時的に棚上げしたとしても、永久的な現状維持は受け入れ難いと予想した。

CSISの調査に回答した64人のなかで、名前の開示に同意した有識者は在台米協会のリチャード・ブッシュ元理事長、香港バプティスト大学のジャン・ピエール・セバスチャン国際政治学教授、エブリッジ・コルビー元米国防次官補代理、アメリカン・エンタープライズ研究所のザック・クーパー上級研究員など。 

王天雨
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