[ワシントン 10日 ロイター] – バイデン米大統領は14日に行う中国の習近平国家主席との会談で、対中関係の悪化を抑えたい考えだが、台湾や人権などに関する米国の懸念について率直に話し合う意向だ。米政権高官が10日、明らかにした。
同高官は記者団との電話会見で「大統領は関係の下限を設定し、われわれの競争を縛る交通規則があると確認することが重要と考えている」と述べた。
ホワイトハウスによると、両首脳はインドネシアで開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談を予定。バイデン氏の大統領就任以来、初めての対面形式での会談となる。
政権高官は、具体的な合意は見込まれていないとして、今回の会談を受けた共同声明の発表はないと述べた。会談ではロシアによるウクライナ侵攻のほか、北朝鮮問題に関する協議が行われる可能性も高いとした。
また、ホワイトハウスは中国がペロシ米下院議長の台湾訪問後に打ち切った気候や両軍間コミュニケーションなどの分野での対話を維持しようとしているが、首脳会談で全ての問題を解決できるとは思っていないとした。
バイデン大統領は9日、習主席と会談する際に根本的な譲歩をするつもりはないと発言。譲ることのできない「レッドライン」を互いに明確にし、自治権を持つ台湾を含む対立分野を解決することを望むと語った。
一方、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はその後、記者団に対し、首脳会談の結果は台湾に説明すると表明。台湾に米国の支援に関しての安心感を与えることを狙っていると述べた。
北朝鮮については、核実験再開の可能性を引き続き懸念しているとした。
米ジャーマン・マーシャル財団のアジア専門家、ボニー・グレーザー氏は、会談は緊張緩和の機会であり、中国はさらなる関係悪化を避けたいとの意思を示していると指摘。「しかし、その目的を達成するために彼らが何をする気があるのかは不明だ。バイデン政権は2021年半ばからリスク低減措置に関する協議を求めてきたが、中国は関心を示していない」と述べた。