毎日遅刻する生徒を定規で叩いていた教師が見つけた真実

世界中の多くの子どもたちにとって学校へ行くことは決して当たり前のことではない。ほとんどの先進国では学校は人々の権利であり義務だが、貧しい国の人々にとってはそうではない。

2018年に発行されたユネスコ活動レポートによれば、世界でたった83%の子どもしか小学校を卒業することができない。約2億6,400万人の子どもたちは教育を受けることすらできないのだ。

そんな子どもたちの現状を想像することもできない恵まれた人々に向けて、インドのソーシャルメディアアーティスト、ファハド・マクスシ氏は貧しい子どもたちが直面している状況を映像化した。

映像の舞台はある少年が通うインドの学校だ。物語の1日目、先生が黒板に板書をしながら授業をしている。生徒たちが授業を聞いていると1人の少年が教室にやってくる。先生は腕時計に目をやり遅刻してきた少年に対して苛立ちを隠せないでいる。

みなさんとっては衝撃的かもしれないが、少年は遅刻した罰を受けるために右手を差し出さなければならない。先生は少年を席に着かせる前に持っていた定規で彼の手を叩いた。

2日目、またしても少年は授業に遅刻してやってくる。彼を待ち受ける罰を知っている少年は右手を出すことを拒んでいる。怒った先生は少年の手をつかむと定規で2回彼の手を叩いた。

残念ながら3日目もこの悲しいやり取りは続く。この日も遅刻してきた少年に先生は定規を振りかざす。今度は先生が定規を振り下ろすたびに少年は右手を素早く引っ込める。クラスメイトたちがその様子を見て大笑いするので先生の怒りは増すばかりだ。結局少年はこの日も定規で2回右手を叩かれてしまう。

すると4日目に先生の態度を一変させる出来事が起こる。先生が早朝ジョギングをしていると遅刻ばかりしている少年に出くわす。彼はただ遊びまわっていたのではなくある目的を持って自転車をこいでいた。

気になった先生が少年を追いかけると、自転車の後ろにたくさんの新聞の束が載せられていることに気づいた。少年は新聞を次々と家の中へ投げ入れていく。

これこそ彼が遅刻していた理由だった。彼は家族のために、そして教科書や制服を買う費用を捻出するために新聞配達をしていたのだ。

次の朝、少年が学校へ行くと状況は一変する。何も知らずに呆然とする少年をよそに、先生は彼を強く抱きしめるのだった。

貧しい暮らしを強いられてきた人たちへの理解と思いやりにあふれる映像に、多くの視聴者が感銘を受けた。

視聴者の1人からは「これは世界中のあらゆる文化を持つ人々にとって、とても重要なメッセージです。私たちの判断はあまりに早急で何も知らずに物事を非難しているのかもしれません。」とコメントが寄せられた。

(大紀元日本ウェブ編集部)