日米のパートナーシップがパラオにある第二次世界大戦時代の負の遺産を処分

2021/11/20
更新: 2021/11/20

FORUMスタッフ 太平洋戦争でそれぞれの軍隊が覇権を争ってから80年が経過し、現在では同盟国になった日米両国はパラオと連携してこの島国の海岸やサンゴ礁ジャングルに放置されたままの不発弾による危険を取り除こうとしている。 

米第一海兵遠征軍(I Marine Expeditionary Force)のタスクフォース・コア・モアナ21(Task Force Koa Moana 21)に所属する米海兵隊員と海軍軍人は、日本の認定特定非営利活動法人である日本地雷処理を支援する会と協力して、2021年10月にパラオのサンゴ礁や火山島300カ所に散在していた地雷や砲弾やその他の兵器を見つけた。

タスクフォースの爆発物処理技術者である米海兵隊のウェスリー・L・バザード(Wesley L. Buzzard)二等軍曹はニュースリリースで、「我々の一番の優先事項は人間と財産を守るために交通量の多い場所や重要なインフラの近くに隠れている不発弾(UXO)を見つけ、除去することです。パラオの人たちが海岸や海の上でより安全に過ごせるようにしたいと考えています」と述べている。

 米海兵隊のニュースリリースによると、タスクフォースの一員として沿岸部爆発物無力化(Littoral Explosive Ordnance Neutralization:LEON)チームと呼ばれる新たなイニシアチブは、サイドスキャンソナーを装備するように改造された自走式ロボット救命ブイであるEMILY(Emergency Integrated Life-Saving Lanyard)を使用して広範囲の海面下を捜索した。さらに、SRS社製の小型自動水中探査機FUSIONが不発弾と思われる物体の寸法とビデオ映像を集めた。 

LEONチームと日本地雷処理を支援する会は、数日間にわたって少なくとも5個の機雷と思われる物体を発見した。

2002年に設立されたこの非営利団体は、カンボジアやラオスなどを含む他のインド太平洋諸国などで地雷除去やそれに関連するプロジェクトを実施している現地や地域のパートナーを支援している。

同団体のウェブサイトによると、同団体は不発弾処理に関連する訓練の提供や、地雷処理機材や技術の開発を行っている。同団体は、世界中の紛争が終了してから長い時間が経過している場所でも、何百万個もの地雷やその他の不発弾が眠っていると推定している。

 第二次世界大戦中にパラオ周辺では数千トンものの爆弾や砲弾が投下または発射され、その海域には軍艦や戦闘機の残骸が散らばってる。これらは爆発の危険性があるだけでなく、腐朽した不発弾からは環境に有害な化学物質が漏出する。 

米内務省の発表によると、パンデミック以前、パラオでは観光産業が国内総生産の約20%を占め、労働者の5人に1人が観光産業に従事していたので不発弾は人命以外にも現地の人たちの生活手段に対して脅威となっている。 

米海兵隊のニュースリリースに対してバザード二等軍曹は、「パラオの海中に残された不発弾の量と私たちがここで実施した作業は間違いなく私たちの能力を検証するのに役立ち、LEONが必要であることを示したと思います」と述べている。 

自由連合盟約(Compact of Free Association)の下、米国は1994年に主権国家となったパラオの防衛を担っている。米海兵隊によると、タスクフォース・コア・モアナ21はパラオと米国の関係の強さを示している。

グアム・デイリー・ポスト(The Guam Daily Post)紙の報道によるとハワイ語で「海洋戦士」を意味する200人規模のタスクフォースは、パラオへの5ヵ月間の展開中に災害対策、エンジニアリング、海上法執行、医療などのプロジェクトも実施する。

Indo-Pacific Defence Forum