幼児、死体と共に7日間生活 深刻化する留守児童問題

2011/10/10
更新: 2011/10/10

【大紀元日本10月10日】最近、1歳8カ月の幼児が、たった一人の保護者で同居人の祖母の死亡を理解できず、7日間、死体の側で飲食を絶たれたまま生きていたという事件が明らかになり、中国国内で注目を集めた。中国農村部では、両親が出稼ぎに出たまま家になかなか帰らないという事情から引き起こされる、留守児童問題が深刻化している。

湖南省の婁底市双峰県に住む小夢さん(1歳8カ月)の両親と祖父は、約160キロ離れた都市・長沙へ出稼ぎに出ている。そのため 両親は幼い小夢さんの世話を祖母に任せていた。祖母と連絡が取れないことを心配して帰宅した小夢さんの両親により、祖母の突然死が判明した。 祖母は先月27日に亡くなっていた。

国内紙、潇湘晨报の取材に応えた父親の話によると、祖母とは、9月20日に実家と通話したのを最後に、連絡がとれなくなっていたという。両親は連日の音信不通が気になり、27日に帰宅し、祖母の死を確認した。「 発見された時、小夢はトイレのドアの所に倒れた母の腕のなかで眠っていた。母の死体はすでに腐り始め、蛆虫がわいていた」と、父親は泣きながら同紙に語った。

祖母の死から7日経過しており、飲まず食わずの状態にあった小夢さんは、大変痩せて衰弱していた。すぐに子供を病院に連れて行ったが、命に別状はなかったという。

「何が原因でこんな悲劇が起こるのか。なぜ農民工は都市で家族と一緒に暮らすことが出来ないのか。政府の政策に問題があるのではないか。障害は戸籍差別だ」と指摘するネットユーザーの声があった。

ここで言われている戸籍差別とは、1958年の戸籍登記条例により、「農村戸籍」と「非農村戸籍(都市戸籍)」が区別され、農村住民と都市住民の間での社会的待遇に差が生じたことによる問題を指す。農民戸籍の農民は、安い労働賃金と低額の社会保障を強いられ、子供の就学や住宅購入が認められないなど、生活に至るさまざまな面において、「2級市民」とも言える差別的待遇を受けている。

「中国ではどんな悲惨なことでも発生しかねない。みな中国人なのになぜ戸籍による差別をするのか。農民の子供は両親と一緒に生活できないなんて、体制の歪みが最大の問題だ」とネットユーザーonlyanny521は、戸籍制度を非難する。

農民が都市に幼い子供を連れて都市部で生活したとしても、農民戸籍である場合、都市の公立学校に入学することができない。一部の都市では農民の子供専用の教育施設もあるが、すべての都市で同様の施設が整っているわけではないため、学校へ通わせるために再び農村部に子供だけを送り戻さなければならないというケースが多い。

全国婦人連合会の統計データによると、両親が都市部などに出稼ぎに出ているため、祖父母とともに暮らしている「留守児童」の数は、5800万人に達しており、14歳以下 は4000万人に上る。農村部では、28.29%の子供が留守児童で、5歳以下の児童は3分の1を占める。四川省、安徽省、河南省、湖南省、江西省、貴州省、広東省での留守児童の数は、各省で100万人を超えるという。

(翻訳編集・王知理)
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