米大統領、次期世銀総裁候補にマルパス財務次官を推薦

2019/02/07
更新: 2019/02/07

[ワシントン 6日 ロイター] – トランプ米大統領は6日、世界銀行の次期総裁にデービッド・マルパス財務次官を推薦すると発表した。

米国は世銀最大の出資国で投票権の16%を保有。これまで歴代総裁を輩出してきた。ただ総裁就任には世銀理事会の承認が必要となっており、他の加盟国が対抗馬を擁立する可能性もある。

マルパス氏はトランプ大統領に近く、2016年の米大統領選ではトランプ氏の経済顧問を務めた。マルパス氏の擁立はトランプ政権が世銀での影響力拡大を狙っていることを示唆している。

マルパス氏は過去に、世銀や国際通貨基金(IMF)などの国際機関が規模を拡大し、一段と「押し付けがましい」、「凝り固まった」存在になっていると批判している。

また、「一帯一路」構想で貧困国に資金を貸し付けている中国について、世銀の援助を受けるには裕福すぎるとして、対中融資の縮小を求めてきた。

トランプ大統領はホワイトハウスでマルパス氏と並んで立ち、マルパス氏が極度の貧困の中で暮らす人々など支援を切実に必要としている人々に対するプロジェクトなどに注力してきたと語った。

マルパス氏は、こうした改革の実施に取り組むとともに、女性の経済的地位向上にも注力すると表明した。

トランプ政権当局者によると、マルパス氏は米中通商協議にも引き続き参加する意向で、来週北京を訪問する代表団にも加わる。

ただ、トランプ大統領の「米国第一主義」や貿易摩擦が多くの途上国を圧迫する中、専門家の間ではマルパス氏が他の出資国の支持を得るのは容易ではないとの見方もある。

過去に米財務省で開発金融を担当し、現在は米シンクタンク「世界開発センター(GDC)」のシニアフェローを務めるスコット・モリス氏は、マルパス氏が他の出資国を説得するには、環境関連融資に取り組む姿勢や中国との建設的な関係構築が必要になるとの見方を示した。

マルパス氏が承認されれば2月1日付で辞任したジム・ヨン・キム氏の後任となる。キム氏は気候変動などの面でトランプ政権と見解が一致せず、任期を約3年残して辞任した。

次期世銀総裁候補には米飲料大手ペプシコ<PEP.O>のインドラ・ヌーイ前最高経営責任者(CEO)のほか、米政府系金融機関である海外民間投資公社(OPIC)のレイ・ウォッシュバーンCEOの名前が挙がっていた。

*内容とカテゴリーを追加しました。

Reuters
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