米、サウジ攻撃は「イラン南西部から」 月内供給復旧で原油下落

2019/09/19
更新: 2019/09/19

[ワシントン/ドバイ 18日 ロイター] – サウジアラビア東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日に受けた攻撃について、米政府当局者は17日、イラン南西部から仕掛けられたという見解を示した。米国がこうした見方を示したことで中東の緊張が一段と高まる恐れがある。

3人の米政府当局者は匿名を条件に、攻撃には無人機(ドローン)と巡航ミサイルが使用されたと指摘。攻撃は当初考えられたより複雑で高度なものだった公算が大きい。これについて根拠となる証拠は示さなかった。

サウジ国営テレビは、国防省が18日に記者会見を開き、イラン製武器の使用など同国の関与を示す証拠を提示すると報じた。

この攻撃を巡っては、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が無人機で攻撃したと犯行声明を発表。イランは関与を否定している。

国営サウジ通信社(SPA)によると、フランスのマクロン大統領は17日、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に電話し、攻撃について協議した。マクロン氏は同攻撃を巡る国際的な捜査に協力する姿勢を示したという。

イランと米国の関係は悪化しており、イラン国営テレビによると、最高指導者ハメネイ師は米国と二国間協議を行うことは決してないと表明。「いかなるレベルであれ、イラン当局者が米国と話すことは決してない。これはイランに圧力を加えるという(米国の)政策の一環だ。最大限の圧力政策は失敗する」と語った。ただ、米国が2015年のイラン核合意に復帰すれば、多国間協議を行う可能性はあると述べた。

トランプ米大統領もこの日、国連総会に出席する際にイランのロウハニ大統領と会談を行うことに前向きではないと述べた。

米政府高官は、攻撃を受け、国連安全保障理事会による対応が必要だとの見方を示した。ただ、具体的な措置やロシアの協力が得られるかどうかなどは不透明だ。

<サウジ石油供給が復旧、原油価格下落>

サウジのアブドルアジズ・エネルギー相はこの日の記者会見で、攻撃で停止した石油生産が月内に復旧し、生産能力は9月末までに日量1100万バレル、11月末までに同1200万バレルに達するとの見通しを表明。サウジは世界的な石油供給国としての確固たる役割を維持し、さらなる攻撃を防ぐために徹底的な措置を講じる必要があると述べた。

原油価格は前日には一時約20%上昇したがこの日は下落に転じ、北海ブレント先物<LCOc1>はアブドルアジズ・エネルギー相の記者会見中に約7%下落。17日清算値は4.47ドル(6.5%)安の1バレル=64.55ドルだった。

原油価格は18日も引き続き下落している。

トランプ大統領はサウジに対する攻撃を受け、米国は対応に向け臨戦態勢が整っていると述べていたが、16日には対応は「急いでいない」とし、湾岸諸国のほか欧州諸国と対応を調整する姿勢を表明。米政府はこの日、ポンペオ国務長官をサウジに派遣した。

またトランプ大統領は必要に応じて米戦略石油備蓄を放出することを承認したと15日に明らかにしたが、この日は原油価格はそれほど大きく上昇していないとして、「備蓄放出の必要性はない」と述べた。

Reuters
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