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7月20日、日銀は6月の会合要旨を発表し、大方の委員が株価・米経済の情勢や市場金利形成の見極め必要との認識を示していたことが明らかに。写真は日銀の福井総裁。14日撮影(2006年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

6月の日銀金融政策決定会合の議事要旨

 日銀は6月14・15日の金融政策決定会合で、ゼロ金利の継続を決定した。その背景となる議論では、株価の下落や米国経済への不透明感の強まりから、大方の委員が世界的資本市場や米経済の情勢をさらに見極める必要があるとの認識を示していたことが明らかとなった。世界的な株価の下落が続く中で、その原因や今後の影響についても突っ込んだ議論が交わされていた。

 6月議事要旨によって、明らかになった。

 また、短期金融市場で、先行きの連続利上げの期待もあって金利上昇が目立っていた中、安定的な金利形成を見守りたいとの意見も出されていた。補完貸付金利については、すでに6月の会合で議論が行われていたことも明らかとなった。

 <国内経済面でゼロ金利解除条件整うが、米国経済や株価に不安>

 議事要旨では、経済・物価情勢について「4月の展望リポートの見通しに沿って展開していくのであれば、金融政策運営も展望リポートで示した考え方に沿って進めることが適当」との認識を共有。

 そのうえで、大方の委員は、現在までの経済・物価情勢は展望リポートの見通しに沿って概ね展開しているが、世界的な金融市場市場や米国経済動向などを含め、さらに情勢を見極める必要があると述べた。

 このうち、ひとりの委員は、足元において景気や物価が上振れるリスクが喫緊のものとなっている訳ではないので、慎重に情勢を見極めていく時間的余裕はまだあると指摘した。

 そうした中で、複数の委員からは、経済・物価面からはすでにゼロ金利解除の条件が整っているとの発言もあった。

 ある委員は、短期金融市場で安定的な金利形成が行われるか見守る必要があるほか、市場にサプライズとならないように金融政策運営を行う必要があるため、今回は現状維持とするのが適当であるが、経済のファンダメンタルズの面では金利を引き上げられる条件はすでに備わっていると述べた。

 これとは別の委員は、実質成長率のトレンドと実質短期金利のかい離はさらに拡大しており、金融緩和の度合いが強まっているため、政策対応を適切なタイミングで行う必要があると述べた。

 <当座預金残高、削減終息も臨機応変な調節必要>

 当座預金の削減については、すでに削減過程はほぼ終息したとの認識でほぼ一致し、今後の市場調節や補完貸付金利の議論も行われた。

 多くの委員は、当座預金残高の水準は、今後も資金需給や金融機関の資金繰りなど様々な変動要因に対応するため、市場調節によって臨機応変に増減させるべきだとした。

 短期金融市場の機能について、複数の委員は、回復しつつあるものの、流動性確保に備えたクレジットラインの設定など、市場参加者の対応が十分でない面があり、改善を促す必要があると述べた。

 また、補完貸付の適用金利のあり方について議論が行われた。多くの委員は、市場金利誘導水準と補完貸付の適用金利のスプレッドに関して、スプレッドが小さいことは、市場機能の回復を阻害する要因になりうる一方、市場機能の回復が十分でない中で市場金利を安定させる効果があると指摘した。こうしたもとで、適切なスプレッド幅を設定することは難しい課題であるが、今後、検討していくべきことで一致した。

 <株下落の行方を注視>

 株価の下落についても詳細に議論が交わされた。

 株価の動向が経済の先行きに与える影響について、何人かの委員は、調整が長引いたり、調整の幅が大きいと、マインド面などを通じて経済に悪影響を与えかねないとの見方を示した。こうした議論を経て、委員は、国際金融資本市場の動向を、その実体経済に与える影響を含めて注視していくことで一致した。

 また、米国経済については多くの委員は、労働需給の引き締まりや設備稼働率の高さと、原油価格を含めた商品市況の上昇が相まって、インフレ・リスクがより意識されるようになってきているとの見方を示した。これらの委員は、景気減速傾向が、経済のソフトランディング、ひいてはインフレ懸念の沈静につながるかどうか注目される局面となっているとコメントした。

 [ロイター7月20日=東京]

 (06/07/20 16:09)  





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