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政府はゼロ金利解除で議決延期請求せず、日銀に緩和環境維持・市場安定を要請へ

 複数の政府筋によると、政府は14日の日銀金融政策決定会合で日銀からゼロ金利解除が提案された場合、議決延期請求権を行使しない方針だ。ただ、日本経済が完全にデフレから脱却したとはいえない状況の中で、日銀に対し、ゼロ金利解除後も「極めて低い金利水準」による緩和的な金融環境の維持や市場が不安定化しないよう配慮を要請する。14日の金融政策決定会合で、政府の代表として出席する財務省と内閣府の担当者がそうした意見を表明する見通し。

 日銀が13─14日に開催している金融政策決定会合では、ゼロ金利解除が具体的に議論される見通し。日銀では、緩和効果が強まり、先行き設備投資などが過熱して、景気の振幅が大きくなるリスクをみており、物価安定の下での持続的な景気回復という望ましいパスを実現するためにも、利上げが必要な局面になっていると判断している。市場も今回の決定会合でのゼロ金利解除をほぼ織り込んでおり、日銀は14日の最終日に2000年8月以来、約6年ぶりにゼロ金利解除を決定する方向だ。

 複数の政府筋によると、景気が息の長い回復過程にあり、決定会合でゼロ金利解除が提案された場合、2000年8月のように議決延期請求権を行使することはない。

 谷垣財務相は12日、ロイターとのインタビューで、ゼロ金利解除が提案された場合の議決延期請求の可能性について「だんびら(段平:伝家の宝刀)をしょっちゅう抜くのが政府と日銀の関係として良いとは毛頭思っていない」と行使に否定的な考えを示している。

 しかし、政府内では「日本経済はまだ完全にデフレから脱却したとは言えない状況」(政府筋)との見方も根強い。あくまでゼロ金利解除は「日銀が結果責任を取るべき」(別の政府筋)との立場だ。

 日銀も4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)において「無担保コールレートを概ねゼロ%とする期間の後も、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」とし、今後、一定のテンポで中立金利まで金利を一気に引き上げることは、考えていないというスタンスをにじませている。

 政府内は、ゼロ金利解除に際して「こうした(展望リポートの)路線を外すようなことがあってはならない」(政府筋)と受けとめており、14日の会合で解除が提案された場合、議決延期請求権こそ行使しないものの低金利政策継続による緩和環境の維持を要請する。

 また、政府は、ゼロ金利解除やその後の金融政策運営に対する思惑などから市場が不安定化することを警戒している。「(現在の)株式市場のボラティリティは高い」(さらに別の政府筋)との懸念も聞かれるなど、ゼロ金利解除に伴って市場が動揺しないよう、日銀に対して細心の注意を求める方針だ。

(ロイター7月14日=東京)

 (06/07/14 09:07)  





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