米副大統領、南シナ海で中国の「威嚇」にひるむことないと強調へ

2018/10/04
更新: 2018/10/04

[ワシントン 3日 ロイター] – ペンス米副大統領は4日に行う講演で、南シナ海で「航行の自由」作戦を実施していた米駆逐艦に中国海軍の艦艇が異常接近した問題に触れ、米国は中国の威嚇によって引き下がることはなく、今後も国際法で認められる限り海軍の作戦を展開すると表明する見通し。

ペンス氏はまた、世界での影響力拡大を狙った中国の外交政策などについても批判のトーンを強める。講演はワシントンのシンクタンク、ハドソン研究所で米東部時間午前11時(日本時間5日午前0時)に予定されている。

ロイターが確認した講演原稿の抜粋によると、ペンス氏は米駆逐艦「ディケーター」が9月30日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島のガベン(南薫)礁とジョンソン南(赤瓜)礁から12カイリ(約22キロ)内の海域で「航行の自由」作戦を実施した際、中国海軍の艦艇が45メートルの距離まで近づいたため、衝突を避けるため回避行動を余儀なくされたと説明する。

「このように無謀な嫌がらせがあっても、米海軍は国際法が認め、国益にかなう限り、飛行、航行などの作戦行動を今後も実施する。引き下がることはない」と強調する。

中国国防省は2日、同国が領有権を主張する南沙諸島付近を米海軍の駆逐艦が航行したことを強く非難し、中国の主権を脅かす「航行の自由作戦」に断固として反対すると表明している。

ペンス氏はまた、中国共産党が中米などの3カ国に対して台湾と断交して中国と国交を樹立するよう促したとして批判する見通し。

さらに、中国が「借金漬け外交」によって世界で影響力拡大を図っていると主張する。「中国はアジア、アフリカ、欧州、さらには中南米の諸国に多額のインフラ融資を供与している。しかし融資条件は良く言っても不明瞭で、中国政府が圧倒的な恩恵を享受している」とする。

南米ベネズエラの「腐敗し機能不全に陥っている」マドゥロ政権に50億ドルの融資を約束し、政権存続を支援していることも非難する。

ペンス氏は、中国が米国内の政治にも影響力を及ぼそうとしているとの見解を示す。中国が米国の州・地方政府を標的にして、連邦・地方政府間の政策を巡る対立を利用しようと狙っているとの米情報機関の分析に言及し、「貿易関税など意見が分かれる問題を利用し、中国の政治的影響力を拡大しようとしている」と語る。

「情報機関の幹部が最近、ロシアが行っていることは中国が全米で行っていることに比べれば大したものではないと教えてくれた」ことを明らかにする。

ペンス氏は、中国の当局者らが中国事業の継続を願う米企業トップに対し、米国の貿易政策を非難するよう促しているとも主張する。

Reuters
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