インド太平洋の平和と繁栄の鍵となるオーストラリアの強固なパートナーシップ

2022/01/06
更新: 2022/01/06

ピーター・ダットン(Peter Dutton)豪国防相は2021年12月上旬、インド太平洋地域が直面している数多くの課題を克服するには、オーストラリアと同地域の諸国間との協力体制を強化することが不可欠であると述べた。 

シドニーに本拠を置くシンクタンク「ローウィー研究所(Lowy Institute)」主催の仮想会議でダットン国防相は、「急速な軍事近代化、領有権を巡る緊張と経済的強制の高まり、海洋法を含む国際法の弱体化、新しい技術により悪化した偽情報の蔓延、外国の干渉、サイバー脅威など、同地域は多くの課題に直面している」と話している。 

同国防相はオーストラリア、インド、日本、韓国、英国、米国との提携関係だけでなく、加盟10ヵ国で構成されるASEAN(東南アジア諸国連合)、 米英豪が新に発表した3ヵ国軍事同盟「AUKUS」、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国が加盟する「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」情報共有協定、通称「Quad(クアッド)」として知られる日米豪印戦略対話(4ヵ国戦略対話)といった多国間協定にも焦点を当てている。 

米豪同盟が「過去最強」の状態に発展していると強調した同国防相は、数十年にわたり米国と米軍の存在が地域の安定と繁栄の要となってきたと付け加えている。同国防相はまた、AUKUS同盟は同地域におけるオーストラリアの提携関係が深化していることを示すものであると述べている。 

同国防相の発言よると、AUKUSの初期目標は原子力潜水艦によりオーストラリア国防軍(ADF)の能力を大幅に強化することにあるが、広義に捉えるとAUKUSは「最先端の軍事力と技術の開発においてより深く実践的な協力体制を確立するための枠組」となる。 

同国防相が日豪印間の防衛関係の重要性を強調したように、同3ヵ国は米国と共に2021年10月に実施された合同海事訓練「マラバール2021(Malabar 2021)」第2段階に参加している。同月には、日豪の軍艦が英国空母打撃群と共に海上演習を実施し、11月には海上自衛隊(JMSDF)が主導する年次演習にオーストラリア、カナダ、ドイツ、米国の海軍が参加している。 

同国防相は、「こうした複雑なマルチドメイン演習により、各国軍隊の統合と相互運用性を著しく強化し協力して作戦を実施する能力に対する自信と相互信頼が高まった」と述べている。 

同国防相の発言によると、オーストラリアと韓国の国交樹立60周年を記念して、オーストラリア国防軍と米軍が関与する最大規模の二国間訓練「タリスマン・セーバー(Talisman Sabre)」の2021年合同演習に大韓民国海軍の誘導ミサイル駆逐艦「王建(Wang Geon)」が参加している。同国防相はまた、オーストラリアと韓国が年次二国間歩兵演習を2023年から開始することを計画しており、将来的なタリスマン・セーバー演習にはインドも参加することが期待されていると発表した。

長年にわたり同地域で確立されている防衛関係の別の例としてファイブ・アイズ情報共有協定を挙げたダットン国防相は、オーストラリア通信電子局(ASD)長官の言葉を引用しながら、ファイブ・アイズは「信頼と自信に頼に基づいて構築された真に完全な統合提携関係である」とし、「これにより、世界で最も影響力のある情報を獲得できる」と説明している。 

オーストラリア周辺地域の安保構造の中核的役割を果たすASEANを豪政府は確実に支援すると、同国防相は述べている。 同国防相はまた、「主権が尊重され安定した安全な『自由で開かれたインド太平洋』を構築・維持する取り組みにおいて、オーストラリアは信頼できる提携国である」と語っている。 

Indo-Pacific Defence Forum
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