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3月14日、市場関係者の間で世界同時株安の懸念が再燃。米金利低下なら相場が落ち着きを取り戻すとの見通しも多い。写真は13日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2007年 ロイター/Lucas Jackson)

世界同時株安の懸念再燃、米金利低下なら波乱収束か

 14日の東京株式市場は、日経平均<.N225>が500円を超す急落となった。米株式市場がサブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への融資)セクターの問題から大幅に下げ、世界同時株安に対する不安が再び高まってきたのが背景。午前の取引で、東証1部は全銘柄のうち96%が値下がりしたが、米利下げへの期待感などで米金利が低下すれば、サブプライム問題で発生したリスクを吸収し、相場は落ち着きを取り戻すとの見通しが市場関係者の中では多い。

 この日の東京市場では、米国サブプライム関連で悪材料が続出したことを受け、高リスク資産運用を目的に調達した資金返済のため、円やスイス・フランを買い戻し、キャリートレード解消に動くとの見方が再び、強まった。

 この円高加速の懸念で、輸出関連企業の業績への不安などが広がり、景気悪化懸念も浮上して、株式に換金売りが活発化した。

 しかし、下げ幅は大きいものの、日経平均が7日に付けたザラ場安値1万6532円91銭を大きく下回って、底割れの相場状況になると想定する向きは今のところ少ない。市場関係者に聞いた株式市場の今後の見通しは、以下のとおり。

 <野村証券・ストラテジスト 岩澤誠一郎氏>

 米株式市場が下落するたびに、必ずと言っていいほど、大なり小なり理由になるのが住宅問題。今回はとりわけサブプライムモーゲージ・セクターへの懸念から、大きな波乱となった。

 しかし、サブプライム問題については、長期金利が低下すれば相殺される性質と言える。前日の米市場では長期金利が低下しており、この問題に対して(株式市場は)過剰反応した格好だ。

 日本株については余波を受けたとみられるので、ここは冷静な対処が必要だろう。2月末からの急落相場以降、ボラティリティが高まったが、1度ボラタイルな相場になった場合、しばらくその傾向が続くため、振れの大きさも気にする必要はない。

<UBS証券・チーフストラテジスト 平川昇二氏>

 米国サブプライムローンの問題が話題になっているが、根底にあるのは米国の景気悪化懸念だろう。しかし、米金融当局には利下げというカードがある。最悪の状況にはならないとみている。

 日経平均は下値を模索しているが、米サブプライムローンの問題は特段新しい材料ではなく、株価を底割れさせるようなインパクトはない。1万6500円どころのダブルボトムで底入れするとみている。

 <三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジスト 吉越昭二氏>

 米株安を受けて大幅な下落となっているが、株安は日米ともオーバーシュートだとみている。米国サブプライムローンに関する具体的な数字が出たことは、不透明感の払しょくにつながりむしろ前進だ。現在、米国の銀行は過去最高水準の収益率に達している。今回明らかになった遅延率であれば、充分引き当て可能だろう。米経済に致命的な影響を与えることはない。

 一時的に債券にシフトした資金は再度株に戻るとみている。日経平均は最悪でも前回安値水準の1万6500円が底であり、チャート上はダブルボトムになりそうだ。

 <みずほインベスターズ証券・調査部部長 一尾仁司氏>

 ドル不安が強くなり、円キャリートレードの手仕舞いが出ている。米国のサブプライムローン問題がきっかけとなっており、バブルのようになっていたクレジットのリスクテークが低下している。新興市場の債券も売られている。前日の中南米株は米国株よりも下落率が高くなっていた。膨張していた資金が収縮し、逆流しているようだ。サブプライムローンの規模はそれほど大きくないが、欧州系銀行からの(米住宅市場への)資金流入が背景にあるため、市場が動揺している。欧州から米国への資金流入が止まれば、ドル不安が高まるからだ。サブプライムローン問題がいつ峠を越えるか先が読めないが、今後も五月雨的に円キャリートレードの巻き戻しが出てくると思う。株価も為替の動向をにらみながら動かざるをえないだろう。

<東海東京調査センター・シニアマーケットアナリスト 矢野正義氏>

 中国発の世界同時株安と言われていた。しかし、米経済の不透明感がサブプライムローン問題で現実に見えてきた。この問題の影響は限定的だと思う。米国債利回りは低下している。いずれ米利下げが出てくると思うので、悲観的になる必要はないと思う。ただ、日本の株式市場にとって、円高に振れることが問題だ。115円台では、輸出企業の中で業績に対して慎重になるところも出てくるだろう。為替市場・米経済への見方が落ち着けば、株式市場は2番底を形成して、3月末に向かって決算企業から上昇に転じると思う。為替動向に注意していきたい。

 <東洋証券・ディーリング部 児玉克彦氏>

 下げが厳しくなった大きな要因は、株価の安い水準で信用買い残が増加し、米国株の変調によって利益確定する動きが活発化した点が挙げられる。期末を前に国内勢が動きにくいうえ、20日の特金決算を控え、その最終日が15日であることから買いが入りにくいことも下げを加速させた。需給によるところが大きいとみている。日経平均は7日に付けたザラ場安値1万6532円91銭をメドに下げ止まるのではないか。ただ、サブプライムローンの問題がより深刻化し、米国株の下げが拡大するようであると、日本株も一段と厳しさを増すことになりそうだ。

[東京 14日 ロイター]

 (07/03/14 15:58)  





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