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3月6日、ポジション解消の連鎖一服で個人は日本株と外債に見直し買い。写真は昨日、都内の証券会社前で撮影(2007年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

ポジション解消の連鎖一服、個人は日本株と外債に見直し買い

 ヘッジファンドなど短期筋のポジション解消の連鎖は6日、とりあえず一服した。日経平均が6日ぶりに反発したのをはじめ、アジアの株式市場は軒並み上昇。為替市場でも円は幅広く下落した。ただ、中国株の急落から始まった世界的な金融市場の混乱がこれで収まったとみる参加者は少ない。他方で、こうした不安定な地合いの中でも、投信を通じた個人マネーが日本株と外債に流入していたことが明らかになった。

 個人マネーは一方向に向きがちな相場の緩衝役になる、との指摘も出ている。

 <ポジション解消一服でも不安定な地合い継続>

 6日のアジア株式市場は、反発して始まった東京株式市場を皮切りに全面高となった。ソニー(6758.T: 株価, ニュース , レポート)をはじめ、世界株安時に売り込まれた銘柄を中心に広く買い戻しが入り、日経平均が1.2%上昇。TOPIX(東証株価指数)は1.8%高と、昨年10月以来の上昇率を記録した。

 このほか、香港ハンセン指数は2.11%上昇、ハンセン中国企業株(H株)指数は3.6%上昇した。現在、取引が行われているインドのSENSEX指数も2%以上上昇している。

 為替市場では、米ドルとユーロが対円で3カ月ぶりの安値からともに回復した。堅調な株式市場に支えられ、ポジション解消の流れが一服した。

 ただ、市場では「きょうの株価上昇はリバウンドの域を出るものではなく、上昇に向けた方向感が定まったわけではない」(準大手証券)、「キャリートレードの巻き戻しによるホットマネーの逆流は、まだ余波が残るだろう。ドルに不安が残る分、為替相場の動きが読みにくくなっている」(みずほインベスターズ証券調査部部長 一尾仁司氏)として依然として不安定な地合いが続くとみられている。

 <国内株投信が一転買い越しに>
こうした中、売り越しが続いてきた国内株式投信は3月1─2日には買い越し(設定超)に転じた。

 野村総合研究所(NRI)が算出している国内追加型株式投信の資金流入状況(NRI─FPI指数、設定額マイナス解約額)によると、国内株式型ファンドは2006年12月から07年2月まで3カ月連続で資金が流出した。流出額は06年12月が3171億円、1月2006億円、2月は3204億円。3カ月で約8400億円が流出した計算。昨年12月に入り日経平均が1万7000円台に乗せたことで、国内株式型ファンドは利益確定の格好のターゲットとなっていた。

 しかし足元の状況をみると、外国人投資家が自国のマーケットが崩れていることで日本株のポジションを持ちきれずに売りを急ぐ中、3月1─2日の国内株式型ファンドは400億円近い買い越し(設定超)となった。

 <外債にも見直し買い>

 円安で基準価額が底上げされていた海外債券型ファンドには、基準価額をみて短期売買する向きから利食い売りが持ち込まれ、2月は月間で766億円の売り越し(解約超)だった。ところが3月2日には買い越し(設定超)に転じている。世界の株式市場が大きく下落する中で質への逃避として債券が買われているためだ。

 海外債券型は「債券価格の上昇もあり痛手は少なくて済んだ。徐々に円高も進行してきたため、押し目買いの観点から見直す機運が高まっている」(国内運用会社)という。また株価下落と円高で基準価額が低下した海外型ファンドには「国内相場に関係なく買い注文が入っている」(先の大手証券)という。

 NRI─FPIのデータによれば、3月1─2日の2日間で海外型ファンドは1152億円の買い越し(設定超)となった。

 <新興国市場への投資は逆バリの発想>
株安の発端とされた中国株式市場にも国内投資家の資金は順調に入っている。NRI─FPIの試算では、2月は中国株ファンドカテゴリー33本に合計で約300億円の資金流入があった。主要ファンドには恒常的に資金が流入しており、現在、ロイターが把握できる3月1日まででみても、世界同時株安以降も資金の流入傾向に大きな変化はない。

 4月10日に「三井住友・中国A株・香港株オープン」を設定する三井住友アセットマネジメントでは、中国株の大幅下落を受け、新ファンドの説明会を懸念していたが「むしろ投資家は為替は円高傾向にあり(中国株を)買い場とみていた」(同社関係者)という。3月下旬にも新興国関連や、現在、株式市場の調整が続いているアジア市場に投資するファンドが複数本設定されるが、販売会社関係者によると、いずれも投資家は長期投資でみており、これまでの株価上昇が急だったことから、今回の調整で投資をスタートできることを歓迎しているという。

 <円高進行で外貨投資に意欲>

 外貨預金にしても、今回の円高がチャンスとして投資に前向きに構えている。実際に、外銀のカウンターでは個人マネーの円のドル転も増え始めている。「120円台が続く中で、なかなか外貨投資に踏み切れずしびれを切らしていた投資家が、115円台をみたことでドルを買っている」(外銀のテラー)という。個人顧客の担当者によると、投資家心理としては110円割れでドル買いを期待する投資家が多いものの、直近1年を振り返っても投資チャンスはなく、今回の急激な円高は、一時、静かになっていた外貨投資が活発化する契機になる、ともいわれている。

[東京 6日 ロイター]

 (07/03/07 08:11)  





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