ランニングには欠かせない 筋肉をつけ、脂肪燃焼を促進するアミノ酸

マラソンは持久力が試される長距離スポーツであり、ランナーはエネルギーを補給することが重要です。特に必須アミノ酸は、より強い体を作るのに役立ちます。

ランナーに必要な栄養 タンパク質

タンパク質は、炭水化物、脂質はともに三大栄養素と呼ばれ、生命活動に不可欠な栄養素です。

タンパク質にはさまざまな働きがあり、筋肉をつくるほか、酸素を全身に運ぶヘモグロビンも重要な役割を担っています。タンパク質は、体の機能を維持するために常に分解と合成を繰り返しており、時にはエネルギー源にもなっています。

タンパク質は「アミノ酸」で構成されており、体力や免疫力などに大きな影響を与えます。このうち、体内で合成できず、サプリメントで摂取するしかないものを「必須アミノ酸」と呼びます。

タンパク質を摂取する際は、大豆、鶏肉、卵、豚肉、アジ、サケ、カツオ、牛乳、牛肉など、必須アミノ酸をバランスよく十分に含んでいるものを選ぶようにしましょう。

一般的に、成人のタンパク質の必要量は1kgあたり1g、マラソンなどの持続的な運動を定期的に行う場合は1kgあたり1.4gと言われています。持久力に加え瞬発力が必要な陸上競技、投擲やトレイルランニングでは、1.8g以上の摂取を推奨しています。
 

卵はアミノ酸を多く含むタンパク質食品です(Shutterstock)

BCAA分岐鎖アミノ酸は有用か?
 

もう少し深く見ていくと、アミノ酸の中でも特に重要なのはやはり、筋肉でエネルギーとなる「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」、総称してBCAAと呼ばれている3つの必須アミノ酸でしょう。

サプリメントの成分表を見て、BCAAは分岐鎖アミノ酸とも呼ばれ、私たちの筋肉に存在し、重要なエネルギー源であり、高強度の運動パフォーマンスの維持に有効であると書かれているのを見たことはありませんか?

BCAAは、筋肉におけるタンパク質の合成を促進し、分解を抑制することで疲労を軽減する効果があり、インターバル走などの主要な運動による筋肉の損傷を防ぐことができます。

「エアロビクスなどの適度な運動は脂肪を燃焼させ、スプリントなどの激しい運動はタンパク質を燃焼させる」と報じている雑誌もあります。ここでは、このことについてさらに詳しく説明します。

これらの運動には先に述べた必須アミノ酸が必要で、これらは体内で合成することができないため、食事から効率的に摂取する必要があります。食事からの摂取が難しい場合は、運動前や運動中に簡易的なサプリメントを摂取することをお勧めします。

その他にも、脂肪燃焼の効率化や、マラソンで最後の失速の原因となる「乳酸の蓄積」を抑え、レース中の体をサポートする効果が期待できます。また、オーバートレーニングでバランスを崩しやすい免疫力を強化し、レース前に風邪をひきにくくするなど、強い体作りをサポートします。マラソンの練習を続けるランナーにとって、タンパク質とアミノ酸を十分に摂取することはとても重要です。
 

分岐鎖アミノ酸は筋肉に豊富に含まれ、重要なエネルギー源となります(Shutterstock)

その他の重要な栄養素:ビタミンC、B1

ランナーにとって、鉄分の吸収を助けるビタミンCや、抗疲労効果があり糖質のエネルギーへの変換を助けるビタミンB1は、摂取しておきたい栄養素です。これらの栄養素が不足すると、マラソンで最も重要な要素である最大酸素摂取量が減少することが研究で明らかにされています。

アスリートにとって、炭水化物はエネルギーとして不可欠であり、ビタミンB1が摂取されないとエネルギーに変換されません。炭水化物の摂取量が多いときは、ビタミンB1を多く含む豚肉や大豆、黄緑色の野菜などを食べるとよいでしょう。

しかし、果汁やデザートを多く摂りすぎると、体にとって重要なビタミンであるビタミンB1の過剰摂取になります。また、ミネラル(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム)も1日2~3杯の牛乳を飲むことで、たっぷりと摂取することができます。

(翻訳・志水慧美)