米議会委員会、IOCに北京五輪開催の再考求める 中国人権に問題

2018/10/15
更新: 2018/10/15

米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)は10月10日に発表した中国の人権に関する年次報告書で、「文化大革命以来、最悪のレベル」と指摘した。委員長のマルコ・ルビオ上院議員は、国際オリンピック委員会(IOC)に対して2022年冬季の北京大会の開催の再考を求めている。

マルコ・ルビオ議員(共和党)と共同委員長のクリス・スミス下院議員(共和党)は、報告書の発表に合わせて行われた記者会見で、中国の人権状況は文化大革命以来最悪となっており、議会では早期に制裁決議案を通過させるよう主張した。

ルビオ議員は、中国共産党政権下の中国は専制体制が続き「野蛮であり、人権状況はますます悪化している」と指摘した。また「米国と中国の関係は過去数十年間、誤認に基づいていた」とし、最近のペンス副大統領による、中国への宣戦布告を意味する演説を引用して、今後の米中関係は変化を遂げると述べた。

ペンス副大統領は10月4日、保守系シンクタンク・ハドソン研究所で講演し、中国共産党政府が米国に対して政治、経済、軍事、プロパガンダを通じて影響を行使してると述べ、断固対峙していく構えを示した。

クリス・スミス議員も「共産党によりウイグル人と人権弁護士に向けられた抑圧は、文化大革命以来、最も深刻だ」と述べた。議員は、トランプ政権、国際連合、国際社会に対して、現時点の中国の人権状況を最低点として、これから改善につながる決定的な行動をとるよう訴えた。また、中国問題においては貿易、政策のみならず人権を含めるべきだと主張した。

オリンピック委員会、2022年中国大会の開催の再考を

CECCは、中国共産党による人道犯罪の停止に向けて具体的な取り組みを国内外の組織を通じて行っている。

同委員会は国際オリンピック委員会(IOC)に対して、決定している2022年冬季オリンピック中国大会の開催を再考するよう促している。また10月10日には、中国共産党による在米ウイグル組織への脅迫について、調査するようFBIに求めた。

ルビオ議員とスミス議員は、新疆ウイグル自治区における大規模な拘束と収容を非難し、関わってる中国政府高官らに対する制裁を検討するよう、「2018年新疆ウイグル人権法案」を提起した。両氏ほか13人の超党派議員は8月、ポンペオ国務長官への公開書簡で、新疆地区の弾圧を先導する中国政府高官に対して制裁措置を講じるグローバル・マグニツキー法の適応を求めた。

両氏はウイグル問題のみならず、法輪功、チベット、キリスト教会信者らに対する人権弾圧や、政治犯と呼ばれた人権・民主主義活動家、ジャーナリストの権利擁護などにも言及しており、米国政府が全面的に行動をとるよう求めている。

2018年度の中国委員会の報告書は主に1、新疆ウイグル自治区の少数民族に対する前例のない抑圧 2、中国共産党による経済、社会のコントロールの劇的な強化 3、ハイテクを駆使した個人監視、など三つの部分をまとめた。

報告は、法輪功学習者が引き続き虐待、拘束、抑圧を受けていると指摘した。さらに、医療専門家や人権団体の報告に基づいて、当局により収監された人が臓器移植の強制的な「ドナー」になっている可能性を指摘した。

報告には、「医療専門家や国際擁護団体は、中国では臓器移植までの待ち時間が短く、移植手術に関する統計の信ぴょう性は疑問視されている。このため、中国衛生当局が、国の臓器調達システムは国際基準に準拠して改正されたという主張には懐疑的である」と書かれている。

ルビオ議員は、中国人権問題の改善は「米国の国家安全保障、経済利益、道徳的価値を促進するだけではない。平和を求め、基本的な権利が保護されるよう、真の政治改革を中国国民は望んでいる」と述べた。

(編集・佐渡道世)

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