【党文化の解体】第6章(16)

【大紀元日本3月3日】

4.大規模な粛清を経て確立された党話

5)党がやくざ世界の隠語を押し付けたという党話の本質

中国共産党の設立当初はやくざの一派であり、政権を奪い取ってからは「国権を盗み取るものが諸侯となり」、その一派が政権を盗って、邪教が国全体の宗教となった。人類の歴史においては前代未聞なので、人々の想像力をはるかに超えた。『中国共産党についての九つの論評』ははじめて中国共産党の宇宙に反する邪教である本質を暴き出して、ある意味で中国共産党に「正当な名分を与えて」、人々に中国共産党を正しく評価する可能性を与えた。

そのため、党話は実に一種の隠語であり、あるいは「グループの方言」、「政治的な方言」といっても良い。中国共産党が党話を推進することは、一派の隠語を社会全体に広めることに等しいだ。

隠語は「秘密の言葉」ともいい、暴力団・やくざの世界で使用される言語である。このような言語は独自の音声と文法系統を持っておらず、正常な言語に付着する一種の言語変異の現象で、党話がその特徴を呈している。

隠語は交流機能、守秘機能と識別機能を持っている。交流機能とは、一派の内部で隠語を使って意思が伝達できることを指し、守秘機能とは、部外者が隠語の意味が分からないことを指し、識別機能とは、ある人が一派の隠語を使用できるかによって「身内」であるかを判別できることを指す。注意すべきは、隠語の交流機能と守秘機能が同時に果たされている点だ。なぜなら、もし交流の行為がなければ秘密を守る必要もなくなるからだ。隠語を使えば内部の成員に意味を伝えながら、部外者に対して秘密を守ることができる。

党話は同様にこの三つの機能を備えて、しかも党話の使い方はもっと複雑なものだ。人々が熟知する文化大革命時期の革命模範劇・『計略で威虎山を攻め取る』に「天王が地面の虎を蓋って、宝塔は河の妖怪を鎮圧」というような隠語のせりふがあり、字面を読むとまったく意味を捉えられなくて、隠語の解読規則が分からないと解読できない、これを「一種目」と呼ぼう。一方、同劇にまた二か所の隠語せりふ、「顔がどうして赤くなったのか」と「どうしてまた黄色くなったのか」があって、隠語でありながら正常な言葉にも聞こえる、これを「二種目」と呼ぼう。党話にはこの二種類ともある。

「三反分子」、「三名三高」、「三搞一竄」、「三和一少」、「三自一包」、「三つの着眼」、「三つの利点」、「三講」、「三つの代表」、「一つの中心、二つの基本政策」、「一つの意識を強化して、二種類の構造を完備させ、三つの転換を実現して、しっかりと三つの原則を守る」などは「一種目」のもので、説明しないとまったく理解できない(たとえ説明を聞いても完全に理解することが難しい)。

「二種目」の言葉は、見た目は正常な語句のようだが、中国共産党に独特な意味を注入されたため、字面の意のままに理解すれば駄目である。党話の解読は人によって違い、中国共産党の権力ピラミッドの頂上に近い人ほど、党話の本当の意味を見抜くことができる。

例えば、最近中国共産党が大いに鼓吹する「調和のとれた社会」、「人間本位」に対して、共産党が人民大衆のために良いことをしたいのだ、と身分の低い共産党員と一般庶民はこう理解するかもしれない。しかし、中間層の幹部ならば「調和が何よりも重要である今の時期に、もしも誰かが大胆に陳情もしくは冤罪を訴えるなどをして、つまり『調和』でない声を出すのなら、党の独裁系統は安泰でなくなる」と正確に意味を捉えることができる。脱党ブームの下で中国共産党は政権の崩壊を極度に恐れて、この2つのスローガンを投げ出した本当の目的は崩壊の運命を挽回するためだ。

(イラスト・大紀元)

党話に複雑な守秘機能があるため、専門家、学者、政治家が含めた多くの外国人は中国共産党に騙されても自覚しない。『人民日報』元旦の社説と中国共産党代表大会報告に使用された単語の現れる頻度を統計して、中国共産党の政治政策の動向を分析した海外の学者がいる。しかし、中国共産党は「言ったことはやらない。やることは言わない」ので、この学者の研究方法では、中国共産党の政治政策の動向を見抜くことができなくて、せいぜい中国共産党の「うそをつく」動向を見抜くことしかできない。

喋り方を通じてその人は共産党員であるか、共産党文化をどれくらい認めるかを識別できるというのは、党話の識別機能の現れである。2000年、中国共産党の江沢民元党首の「香港女性記者罵倒事件」は大きな波紋を引き起こした。香港記者の質問はとても短いが、こんな短い質問から、この記者は中国共産党の香港政策を認めていないと江沢民にはすぐ分かったため、激怒して罵声を浴びせたのだ。二人の会話を見てみよう。

「江主席、董さんの再任について、良いことだと思いますか」

「もちろん良いことですよ」

「北京中央も董さんを支持していますか」

「当然です」

「再任は香港の自治に影響すると心配していませんか」

これを聞いた江沢民は彼女に罵声を浴びせた。

2005年の7月、「共産党員先進性保持活動指導者グループ」の副組長、中央組織部の副部長・李景田はメディアに中国共産党「先進性保持」の情況を紹介した時、「ここ数ヶ月農村で起きた騒乱に中国共産党はどのように対処したか」という記者の質問に対して、李景田は、「中国農村の情況に関心を寄せるこの記者に感謝の意を表したいと思う。しかし、中国農村に起きたことを私達は『団体事件』と呼び、『騒乱』と呼ばないことを、あなたに明確に教えたい」と答えた。この記者は中国共産党一派の成員でないことを、李景田も即座に識別できた。 

中国共産党の統治下に置かれる中国人は、政治の真実を知るために、中国共産党の公文と新聞を巧みに解読する能力を鍛えた。彼らは公文か報道の字面、指導者出場の順番、表現の変化から中国共産党の政治の風向を見出すことができる。情報の出所は中国共産党に独占されるため、国民はやむをえずこのようにするのだ。しかし、党話に人を騙す要素が多くあるため、このような「庶民の解読方法」がよく間違ったりする。それより重要なのは、仁義を講ずる暴力団にも及ばない中国共産党の汚い政治手段を、我々はいつまでも許すわけにはいかないのだ。

中国共産党は国の統治権を握っているため、党話という「グループの方言」、「隠語」は一種の「政治的な方言」にまで広められた。「政治的な方言」の出現は言語学史上の未曾有の現象で、他の国と社会にこれまで発見したことがない。それはグループの私利を目的に、政治目標を達成するために言語を統制して邪悪な意図とイデオロギーを伝達して、暴力団の手段で国の正常な運営方法を取って代わり、国民の思想と行為を左右して、民族の精神と知恵を消滅させているものである。

(続く)