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中共の五輪戦略

文・任百鳴

 【大紀元日本4月14日】2週間の北京五輪は五輪と総称するが、それぞれの構成部分はそれぞれの集団、団体にとって重みが違う。これは中国共産党政権(中共)五輪の特徴である。

 たとえば、中共統治層は、五輪の開幕式に政治生命をかけていると言ってもよい。中共はかつて「歴史上最も成功する五輪を」と宣言し、世界のすべての政治要人、重要人物に来てもらうことを意気込んでいた。そうなれば、国民の前に国際社会から世界の中核として認められていることを証明できるからである。

 開幕式後の2週間の試合は中共にとって最も頭が痛い期間である。どれだけの金メダルをとれば面子が保てるかは未知数であり、また基礎建設における深刻な支出超過、大量の人力・財力を消耗する空気、環境、水源の圧迫式管理も問題だが、それらは別として、単に承諾したネット、メディア、ニュースの開放により、3万人の自由世界の記者大軍が進入することは大変なことである。中共の腹の中でとんぼ返りを打ち、2週間でどれだけの内幕を掘り起こすか。さらにいったん民衆による抗議事件が起きたら、中共は対応に苦しむであろう。それらは中共が最も見たくない五輪の部分だが、国際スポーツの盛会が好きな民衆はそこに興味を示すだろう。五輪に対して、民衆と権力者の注目するところは異なっており、自由メディアもまたそれなりの興味を示すであろう。

 このように中共にとって、五輪の価値は開幕式であり、開幕式の「成功」は五輪の「成功」で、中共の政治ショーの「成功」である。その他の部分については、中共はさほど興味を持たず、むしろコントロールし、消音しようとする。そこで五輪の前、中共当局は人権改善の約束を果たさないどころか、広範囲な取り締まりを行い、拘束、監禁、非合法な判定、殺戮をはばかりなくやった。その意味は、国民にかってにしゃべらないよう、動かないよう警告をしているのだ。それによって承諾を履行しなければならない短期間に、自由メディアに何も得させないのである。これは中共の基本的な五輪戦略である。

 しかし、まさに極度に五輪で事件が起きることを恐れるため、いっそう厳しい手段ですべての雑音の兆候を消そうとしている。このような心理状態がチベットでの虐殺事件を生んだのである。結局、それが導火線になって、中共五輪のトーチは全世界で抗議に遭い、自由世界の世論はもっぱら中共の人権暴行を非難し、欧米大国の政治要員は次から次へと五輪の開幕式に参加しないことを宣言し、全世界で北京五輪に対して共同戦線ができたのである。

 もし、開幕式の貴賓席に空席が目立てば、中共にとって、五輪の利用価値がなくなり、やらずにしてすでに負けていると同じであり、このような事に中共はまだ熱中し、他人のために危険を冒して舞台を作って劇を演じるだろうか。中共は現在スローガンを調整し、トーンを落として、「満足できる五輪を」としたのである。明らかに中共は五輪から抜け出そうとしているが、中国の庶民には五輪は依然スポーツの盛大な祭典で注目されている。中共はどのように出るのか。

 チベット事件1カ月後の情況を見る限り、中共当局は少しも抑制していない。国際圧力に逆らって、弾圧する姿勢に変わりはない。一方、国際社会による五輪トーチリレーへの抗議に対して、中共は大量の民間の力を集めて、直接的または間接的に自由世界の世論と開戦している。予想としては、自由世界の激しい非難に対抗するため、中共は再度大規模な民族対立の情緒を扇動し、同時に国内のコントロールを強化し、厳しい手段で民衆を弾圧し、容赦せずに殺戮するだろう。特にチベットの問題で、いっそう自由世界を怒らせようとするであろう。

 実はこのような両方をたたき、両方を扇動するやり方は、中共の最も得意とするものである。最後に、自由世界が人権の原則に従って全面的に五輪をボイコットした後で、中共によって扇動された国内民衆の民族情緒も最高峰に達成する。その時、中共はさっと姿を変えて、全国人民を率いて国際的な「反中敵対勢力」への抵抗運動に入るのである。

 報道よると、中共の高層とずっと相応のパイプ持っている「中米対話基金会」創始者の康原氏が、2008年3月29日アムネスティの香港分会、香港記者協会及び香港外国記者会の共同主催で行われた第12期人権報道賞の授賞式典で、講演の賓客として、「中国の6・4事件の囚人、正義への道」というテーマの英文講演を行った。その中で、6・4事件後に中共が直面した国際圧力と、現在の前例のない北京五輪への人権に関する激しい非難を対比して、こう漏らした。中共の官吏は彼に、たとえ五輪を犠牲にしても国家安全を脅かすことの発生を許さないと話したという。

 それは中共高層が香港で放った五輪の方向転換の信号なのだろうか。もっと大きくてもっと厳しい弾圧は中国で起こりそうな感じである。

 民族の愛国情緒を扇動すること、それはおそらく中共の五輪政治戦略の次のステップであろう。しかし天が中共を滅ぼす天象の下、それは所詮希望的な観測に過ぎない。すべての汚職官吏は民衆に罵倒され発散の直接対象になっており、いわゆる「民族の火」の激しい炎によって、中共自身は最後にきっと焼かれる羽目になろう。

 民衆が中共の邪悪な本質をはっきり見分け、中共と中国の2つの概念をいったん識別できたら、中共が中華命脈を切断しようとしていること、その政治的陰謀を見破ることができるはずである。その時、更に多くの人は邪悪の中共から離れ、中共の関連組織からの離脱を選ぶだろう。従って、中共は如何にもがこうとも、すでに道はない。

 
(翻訳・金本)


 (08/04/14 07:19)  





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