薄氏批判の中共幹部、「国家政権転覆罪」で12年の懲役刑

2012/08/02
更新: 2012/08/02

【大紀元日本8月2日】中国重慶市巫山県の元政法(公安、司法)委トップの饒文蔚(45)氏は2008年、同市元トップの薄煕来氏や中共の体制を批判する一連の手記が大紀元時報のウェブサイトで発表されたとして、「国家政権転覆罪」で12年の懲役刑が下されていた。薄煕来氏が自ら処罰を命じたという。

饒氏は、重慶市の最も若い政法委書記として、かつて同市の政策諮問機関の事務局長を務めるなど、将来有望視される若手幹部だった。

手記は2005~2007年の間に書き下ろされたもので、体制内の幹部として、中国の社会、経済、人権、法治について独自の考えが述べられ、中に当時の同市トップ薄氏を「表裏不一致」、「いい人ぶっている、厚顔無恥な人」と批判するものも含まれている。

さらに、手記で「当局に知られたら、命の危険を招くのは重々承知しています。非常に葛藤しました」、「一人の人間として、共産党の独裁体制の悪態を知り尽くした中国の男として、正義者の目線をそらすことはできない」と心境を語った。

52編にも及ぶ手記は2008年にペンネームで国外の大紀元時報のウェブサイトで発表され、ほかのメディアにも転載された。

2008年7月、饒氏は海外の反動サイトに文章を発表したとして、当局に「国家政権転覆罪」で身柄を拘束され、翌年に12年の懲役刑が確定した。

饒氏の家族の話によると、判決は薄氏の意思を強く反映したもので、「国内メディアが報道せず、公開審理も行われなかった。家族と弁護士にも圧力がかけられた」という。この4年来、家族らは裁判のやり直しを求めてきたが、受理されなかったという。

重慶市トップに在任中、暴力団一掃キャンペーンの名の下で、法的手続きを無視し、反対派を排除してきた薄氏。今年4月に妻の殺人容疑や自身の腐敗問題、政変計画で失脚した後、その行き過ぎた取り締まりで投獄された事件への再審を求める声が高まっている。

刑務所で一緒だった民主活動家の張起氏が5月に釈放され、饒氏が「厳しい虐待を受けており、肝臓、甲状腺障害などの病気を患っている」と明かした。

(記者・古清児、翻訳編集・叶子)
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