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【漢詩コーナー】月夜に舎弟を憶ふ(杜甫)
― 中秋の名月に寄せて ―

 【大紀元日本9月12日】

 
月夜憶舎弟 唐・杜甫
 Yuèyè yì shè dì

 戍鼓斷人行
 Xūgǔ duàn rénxíng
 邊秋一雁聲
 Biānqiū yī yàn shēng
 露從今夜白
 Lù cóng jīnyè bái
 月是故郷明
 Yuè shì gùxiāng míng
 有弟皆分散
 Yǒu dì jiē fēnsàn
 無家問死生
 Wú jiā wèn sǐshēng
 寄書長不達
 Jì shū cháng bù dá
 況乃未休兵
 Kuàng nǎi wèi xiū bīng


 (訓読)

 月夜に舎弟を憶ふ
 戍鼓(じゅこ)人行断え
 辺秋 一雁の声
 露は今夜より白く
 月は是れ故郷に明かるからん
 弟有るも 皆分散し
 死生を問わんに 家無し
 書を寄するも 長く達せず
 況んや乃ち 未だ兵を休めざるをや


 (日本語訳)

 月夜に弟のことを思う
 砦の太鼓が鳴り、人通りが絶えた。
 辺境の秋空に、一羽の雁の声が響く。
 今夜から白露の季節となり、
 故郷では月光が明るく照らしていることだろう。
 弟たちは皆、散り散りに暮らしており、
 家もなく、安否を尋ねることもかなわない。
 手紙を書いてもいつまでも届かない。
 ましてや、戦乱が続いている今はなおさらだ。



 【ひとこと】

 759年秋、杜甫48歳。戦乱のために官職を失い、家族と漂泊の生活を送っているときに詠んだ詩です。澄んだ秋空にかかる月を見ながら、行方の知れない弟たちのことを思う刹那さ。

 14日は中秋の名月。中国には、迫害のために一家離散を余儀なくされ、流浪の生活を送っている人がたくさんいます。他郷で見る満月に、家族への思いはひとしおでしょう。

 彼らの家族団らんが一日も早く叶うことを心より願わん。

(雅)

 (08/09/12 00:00)  





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