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張丹紅事件:親中国と親中共を峻別せよ

文・文婧 (ウェン ジン)

 【大紀元日本9月4日】ドイツ政府系国際ラジオ放送「ドイチェ・ベレ」 (DEUTSCHE WELLE)は最近、同放送局中国語放送部責任者の張丹紅(女性)が中国共産党政権下の人権状況やネット封鎖を擁護する発言が続いたため、一週間番組司会を降板させる処分を下した件で、欧州の華人たちは事態の成り行きに注目している。北京五輪開催4日前、ドイツ放送局の取材を受けた際、張は、中国は4億人を貧困から脱出させたとし、中国共産党を「世界人権宣言」第三条の実現に「世界のいかなる政治勢力よりも多大の貢献を捧げた」と述べた。また、フリーチベット及び法輪功のサイトへのネット封鎖が解除されないことについて、「ドイツでも児童ポルノと極右翼のサイトは見られない」と発言した。

 8月28日、新華社の特別記事で中央宣伝部は張が「公正な親中国言論」および「中国の良いところを多く話した」ことにより懲罰を受けたとして、ドイツの処分が不当であることを伝えている。ネット上でも議論が白熱しているが、張の多くの言論は親中国ではなく「親中国共産党」であり、“中共”と“中国”を混ぜて語るのが中共の一貫したやり方である。

 筆者が知る長年中国人の代理をしてきたドイツの弁護士はこれについて、「我々ドイツ人は(中国)政府と人民をはっきりと分けている。我々は中国共産党が中国人の人権を侵害していることを批判しているのだ。中国の人民を助け、中国のために尽力した故トム・ラントス氏(元米国下院外交委員長)に経緯を抱いているが、ラントス氏は中共から“反中国”議員の一人と言われている。ラントス氏は生前、中国共産党政権が中国人民を迫害することには反対であるとよく話していた」と述べ、中共と中国は混同してはならないことを指摘した。

 新華社はこの張丹紅事件について「ドイツには言論の自由がない」と批判した。大紀元時報の時事評論家・王華氏は、評論『張丹紅事件、誤った言論の自由』で、言論の自由は多くの人が理解しているような「言いたいことがあれば言う、果てしない選択の余地」という意味ではないと指摘した。また、『人権宣言第十条』に「意見の発表は、法律で定められた公共の秩序を乱さず、いかなる人の意見、さらには宗教の意見により干渉を受けない」と記されているが、ここで言う法律は法治国家の法律であり、独裁政府が制定した悪法ではないとし、言論の自由は、人間としての権利あるいは名誉を、さらには国家安全の保障あるいは公共秩序を尊重しなくてはならないものであることを強調した。

 さらに、王華氏は、張丹紅が、チベット人、法輪功学習者の人権サイトを児童ポルノの宣伝サイトに例えたことについて、天から与えられたこの普遍的価値を罪悪行為と同等に扱ったとし、この発言は、物事を判断する上で最も根本的な価値観を失っていると評論している。張丹紅が「ドイチェ・ベレ」の番組司会を降板させられたのは、個人的な言論が理由ではなく、公共の電波で発言する上での職業倫理や道徳観が問題とされたのであり、その言論が既に他人の権利と名誉を侵しているからである。

 ドイツの自由学者で全体主義研究の専門家である仲維光氏は、「張丹紅は餓死者の最も多かった人災が発生したのが、共産党統治の1960年前後に発生していることを忘れている。また、中国の経済停滞も共産党が作りだしたものだということを忘れている」とし、仲氏が示しているのは1949年から1978年の間で、中国共産党の数十年の政治運動の結果としての経済建設の荒廃と、私有制の廃止により1978年の中国経済に崩壊をもたらし、改革開放を実施せざるを得なくなったからである、と指摘している。

 新華社は8月29日付の記事で、ここ1、2年、ドイツ社会で問題にされている中国の人権状況の主犯は中国共産党であるとする報道や評論が出ていることについて、ドイツ社会の「反中国心理だ」と概念をすり替え、さらに、中共を糾弾する動きを「ナチス人種差別主義の影」と指摘している。

 この事件は、ドイツメディアと社会に必ず反響を引き起こすだろう。我々はそれを切に期待している。

 
(翻訳・坂本)


 (08/09/04 07:30)  





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