【大紀元日本11月21日】世界で金融危機が広まり、中国の実体経済も打撃を受ける中、中国当局は総額4兆元(約56兆円)規模の経済活性化法案を制定した。目的は内需、特に国内投資を拡大させるためである。この法案による中国経済への効果について、国内の経済学者は匿名で懐疑的な見方を示し、中国経済の構造的問題点をさらに悪化させ、幹部の汚職を一層激化させるなどの見解を示し、次のように詳細な分析を行った。
確かに、この法案は短期的に顕著な効果が得られ、今後1、2年において、米国の経済後退による打撃を回避できるであろう。しかし、中長期的にみると、その効果は、中国改革開放30年の間に蓄積してきた経済の根深い問題点をさらに激化させる可能性が高く、従って経済の長期的な発展には不利である。その理由として、次のように分析する。
まず、中国経済発展の構造的な問題点―輸出と投資が主導となる連動型の経済発展のスタンスを変えていない。今回の経済活性化の策は、この問題点をさらに激化させる可能性が高い。具体的に顕現するものとして次の4点が考えられる。
①大量の投資が社会の生産能力を顕著にアップさせるが、後期の総需要に強い圧力をもたらす。
②実体経済が投資と輸出に習慣的に依存するスタンスをさらに強化させ、その軌道修正が益々難しくなる。
③未熟な経済発展方式を定着させ、大規模な自然資源の消耗と無駄な建設が乱発、経済効率を著しく低下させる。
④就業率改善はさらに難化。
上記の4点は中国経済が目前に抱える深刻な問題点である。中央政府は問題に気づき、一連の改革政策を制定したが、効果は非常に薄い。その最も根本的な原因は、投資を主導とする経済発展スタンスが抵抗作用となっているためである。今回の総額4兆元規模となる経済活性化法案にも、その大多数の資金の使途はこの種の投資スタンスをさらに強化する結果を導く。中央政府は法案の実行にあたって、投資の効率化と環境保護、エネルギーの使用削減を強調しているが、その実効性は疑問視される。
それ以外に、それほどの短期間に巨額の国家投資を実施することは、幹部の汚職と資源の浪費という現状をさらに深刻させるが、これを避けて通れない。今回の経済活性化法案は、中央と地方が未来2、3年の間に4兆元の投資を実施すると定めている。しかし、4兆元の投資を吸収するのは容易なことではない。国家統計局のデータによると、02年から06年までの国内の年間総資本総額は69089兆元、未来2年の期間中に4兆元の投資を吸収するには、平均一年間2兆元のペースとなる。それは02年から06年までの年間平均投資総額の28%に相当する。それほど急激な増加額はどのように順調に中国経済に吸収させるのか、しかも効率良くやれるのかは大きな課題である。必然的な結果として、大量の無駄な建設が行われ、不健全なプロジェクトが相次ぎ実行されるであろう。それにより幹部の汚職がさらに横行し、同時に、社会、経済、自然資源の莫大な浪費をもたらす。中国は世界第4位の経済大国となったが、一人当たりのGDPは全世界100位以内には入っていない。一人当たりの自然資源の保有量も世界の平均水準以下にある。このような状況において、このような急激な拡大投資を行うのは、短期的な経済発展を保つだけにすぎない。
そのため、予測されるのは、今回の政府による巨額投資は迅速に経済を活性化させ、高成長を保持できるが、中国経済の構造的な欠陥をさらに深刻化させる。長い目でみると、経済の健全な発展を損ない、結果として、未来の中国の発展に時限爆弾を埋めることになる。
香港フェニックステレビの看板の生トーク番組「鏘鏘3人行」は11月18日夜の放送で、コメンテータを務める有名評論家の許子東・教授は、この4兆元の国家投資の半分は汚職幹部の懐と欠陥建築に消えるはず、との見解を示した。この番組は翌日午前6時半に再放送されるはずだったが、ほかの番組に変えられた。その変更について、フェニックステレビの説明はない。
(翻訳編集・叶子)
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