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武の徳を論じる

文・李有甫

 【大紀元日本7月31日】万物は道において生まれ、徳において存する。武の徳は、道徳に属する。道とは、天地宇宙が運行する規律であり、徳とは、天地宇宙の規律に基づいて行うことである。武をたしなむ者は、因果応報を信じ、善悪を判別でき、道を尊び、徳を重んじ、善悪に報いがあることを知り、悪を止めて善を揚げ、徳を修めて道に向かう、これを武の徳という。

 老子曰く、「道が之を生み、徳が之を養う」。道は万物を生み、徳は万物を容れる。万物は道を尊び、徳を貴ぶことをその生存の根本となす。万物は、徳があって存し、徳を失えば即ち滅し、悪を為して徳が尽くされれば全滅する。

 武の徳とは、戈(ほこ)を止める徳である。武の字を解すると、戈を分解し、その刃を外した「弋」の形は、暴力を制止する意となし、その刃を止の上に載せて正の字になる。まさに老子が言った、「どのような立派な兵器を持とうとも用いず」に符合する。たとえ素晴らしい兵器を持っていても、慎重に管理し簡単に用いず、すなわち柔で剛を制する。これが武徳の根本である。

 古来、天下は文武の二つの徳によって運行されてきた。文の徳とは、文が善を謳い自然に従い、天下を納めるものであり、武の徳とは、武が善を持って自然に則り、天下を容れるものである。ある詩に曰く、「文章は千古の事、社稷は一着の軍服」。つまり、文章は仁義道徳をもって千古に伝え、社稷(国家政権)は軍服を用いずして長く存する。もし文武の力で悪を行えば、即ちその徳を失い、身は敗れ、名が裂け、天と人とがこれを共に誅し、永遠に存しない。例えば、暴虐な桀(夏の王)、紂(殷の王)を謳う文章は古今に見当たらず、誰もがそのために筆を汚し、口を汚したくない。一方、黄帝と老子の道徳、儒教と佛教の経典、商代の周文王と周武王、唐と宋時代の英雄などは、みな厚い徳を持って事を処し、文章に載せられ、千古に伝えられている。中華五千年の文明歴史を造ったのは、まさに文武の徳である。

 武の徳とは、善を見て欺かず、悪を見て懼れないものである。遠い昔には黄帝が蚩尤(しゆう)と戦い、正をもって悪を止め、武の徳の歴史を創った。商湯(商王朝の創始者)、周武王(西周王朝の創始者)は道をもって無道を討った。唐の太宗は、「凌煙閣」を造って、忠臣武将の徳を宣揚した。張三峰は太極拳を創り、拳法の柔が水の如し、柔をもって剛を制し、天下の武勇者に尊敬された。老子曰く、「上善は水の如し。水は万物を利して争わず。これ衆人の嫌うところなり。ゆえに道に近し」。太極拳はその緩やかでゆっくりとした動きによって、衆人の健康、養生、延命に利するだけでなく、さらに柔をもって剛を制し、人を傷つけずに暴力を制し、武徳の典範として称えるにふさわしいものである。

 武の徳を失った者は、善悪を分別せず、悪を懼れて善を欺き、強さを恃んで弱い者をいじめ、強権者に協力して悪事に働く。徳を失った者は、徳だけでなく、仁義も失い、武芸も身につくことができず、悪報を待つしかない。

 武徳を積むには、因果応報を信じ、善悪が分かり、正邪をはっきり判別しなければならない。さらに心を修め、求道の心を持ち、名利を淡白にして、心が善くて志が堅く、百難に遭っても快く受け、万難に屈しない。強権悪政、凶悪の輩に遭っても心が懼れず、芸を疎かにしない。心が懼れなければ、神が集中し気が安定できる。芸を疎かにしなければ、暴力を制し争いを止めることができる。

 或いは、忠、恕、仁、義、孝、廉等の中華伝統文明の美徳をもって事を行えば、武を持って功を立てることができ、武の徳も積むことができる。武徳の中には、善悪を分別し、因果を信じ、正邪を判別するのは最も重要なことである。その他のものは付随するものである。ちょうど老子が説いたように、「徳を守れなければ、その次に仁を守るべき。仁も守られなければ、その次に義を守るべき。義も守れなければ、その次に礼を守るべき。礼とは忠信が薄くて乱の始めである」。ゆえに道徳を先にし、善を先にするべきである。

 武徳を長く保つには、徳をもって武を磨き、武をもって徳を修め、武芸と道徳を共に修めることである。それでこそ五千年の中華神伝文明の武徳を継承できるものである。

(翻訳・太源)

 (09/07/31 00:10)  





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