ウイグル収容者、臓器移植センターに近い沿岸部刑務所へ移送=元医師

2019/03/20
更新: 2019/03/20

中国西部・新疆ウイグル自治区出身の元外科医アニワル・トフティ(Enver Tohti)氏はこのほど、新疆にある「再教育キャンプ」に収容されている人々が中国沿岸部の刑務所に移送されていると述べた。刑務所の近隣には、臓器移植センターがあるという。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)中文版3月15日付によると、トフティ氏は、衛星写真分析と中国語などの関連報道から、新疆に拘留されていた収容者たちは、経済発展が進み人口が集中する中国の沿岸地域に移送されたという。

新疆から移送された人々は河南省や浙江省の刑務所で「テロリスト」として扱われ、収容されている。北京の中央政府が移送者を管理しており、現地警察当局の管轄外にあるという。

トフティ氏は、移送先である沿岸部の刑務所の近くに、臓器移植センターがあることを発見した。

「ハラール・オーガン」

アラブ諸国からの臓器移植希望者は信仰により、豚肉を食べない人のドナーを希望する場合がある。トフティ氏は近年、新疆を訪れて、宣伝広告された「ハラール・オーガン(豚肉を食べていない人の臓器)」を入手している人が増えていると述べた。

トフティ氏によると、移植希望者は中東が多く、一部大使館は移植ツアーを仲介しており、移植手術は新疆ウルムチで行われている。

90年代まで元ウルムチ鉄道局中央病院の外科医を勤めたトフティ氏は、中国共産党政府による新疆における核実験と被害を暴露し、英国に亡命した。のちに、中国で死刑囚から臓器摘出に関わった体験も明かした。強制臓器摘出問題の周知のために、欧州や米国などの議会公聴会で証言したり、人権や医療倫理団体カンファレンスで講演を行ったりしている。

同氏によると、2016年以来、中国共産党政府は「健康診断」を名目に、ウイグル人から血液を採取してDNA検査を行った。漢民族とカザフスタン籍を検査対象から除外しているという。

また1990年頃、行方不明になり後に発見されたウイグル人の子どもや大人から、臓器が摘出されていたことを確認しているという。医師であったトフティ氏が家庭訪問すると、子ども3人は腎臓の片方を摘出され、縫合した跡があった。また、家族が子どもの行方不明について通報しても、現地警察は事件として取り合わないという。

トフティ氏は以前、新疆のいくつかの空港施設内で、床に「人体器官運輸通路(臓器専用ルート)」の案内表示がある写真を公開している。「臓器取引の需要の増加に伴い、迅速な対応ができるよう空港が特別ルートを設けたのだろう」と推測している。

中国のネットに流通した、新疆ウイグル自治区のカシュガル空港に設置された床案内ルート(トフティ氏提供)

(翻訳編集・佐渡道世)