■大紀元日本 http://www.epochtimes.jp/jp/2009/09/html/d94733.html



ネズミイルカの一種。揚子江に数千万年にわたり生息してきたこのような各種のイルカが、水路汚染による絶滅の危機に瀕している。(China Photos/Getty Images)

揚子江の女神、ヨウスコウカワイルカの絶滅

 【大紀元日本9月21日】

 中国大陸の水運の大動脈、揚子江。この中国最長6300キロの水路に、固有の白イルカが2千万年棲息していた。 中国では 白鱀(ばいじ)と称され、古代中国では「長江女神」と崇められ、数千年にわたって人間の営みと和をなして共存してきた。しかし、中国の経済改革に伴う生産技術の導入や大量の水質汚染で、揚子江から女神の姿は消え去った。

  現在、このヨウスコウカワイルカ(揚子江河海豚、Lipotes vexillifer) は、写真で見ることしかできない。 体重は135〜230キロ、最高身長は雌2.5メートル、雄2.3メートル。アマゾン川のイルカのような卓越した視力はないが、高周波数の音を出してその反響から餌や障害物の存在を知る反響定位に優れ、長江の激しい流れを自由に泳ぎ回っていた。群れには複雑な社会制度が発達していたようで、各々の白イルカには特定の音節、つまり自分の「名前」が割り当てられていた。

 この白イルカは、古代の揚子江に独特の影響力があったとされるが、人間が大河の営みを妨害したわずかの期間で、絶滅に追い込まれてしまった。揚子江の汚染、 餌の減少、 電動式陸揚げや複数のフックを利用する漁船など、白イルカの生活環境は大きく変わった。 船のプロペラは好奇心の強いイルカを負傷させ、エンジン音はイルカのコミュニケーションを妨げ、群れから何頭かを孤立させたと考えられている。

 ヨウスコウカワイルカは、約2000年前に太平洋から揚子江へ移動したことが化石から割り出されている。前漢時代の辞典『爾雅』(じが)にはヨウスコウカワイルカに関する記述が残っており、棲息数およそ5000頭と記している。しかし、1979年には絶滅の危機に瀕する種に指定され、1990年までには棲息数は200頭の生存が確認されていた。1994年の三峡ダム建設で汚染が悪化し、その数は急速に減少。1998年には7頭の残存が推定された。2003年に三峡ダムの貯水が行われた際には、一頭も目にすることはなかった。当時目撃したという話もわずかにあるが、裏づけられる証拠はない。2007年11月、ヨウスコウカワイルカの棲息を確認するための調査が行われたが、 厳然たる事実を研究者たちが受け入れるだけに過ぎなかった。カメラやマイクロホンを使っての7ヶ月間にわたる揚子江の探索では、かつての「話す」イルカの声も姿も捉えることができなかった。 白鱀(ばいじ)は既に永久にこの世を去っていたのだ。

 白イルカの絶滅は、現代人への教訓である。しかし、現代人は聞く耳を持つのだろうか。同じ揚子江が現在、ハシナガチョウザメの絶滅危機に直面している。 白鱘(ばいすん)と呼ばれ、 数千万年にわたり揚子江に棲息してきた。 汚染された揚子江で、この大魚を始めとする数多くの生命が、白鱀(ばいじ)同様の運命を辿ることを、多くの環境学者が憂いている。

(記者・ Leonardo Vintiñi 、翻訳編集・鶴田)