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上海の高層ビルを清掃する労働者(Getty Images)

明日の中国に起こりうる革命

 【大紀元日本10月27日】中国の7~9月の国内総生産(GDF)は前年同期に比べ8・9%増だと、中国政府が先週発表した。一方、中国当局が主張する好調な経済回復傾向とは対照的に、中国当局はまもなく貧富の格差の拡大、失業、経済成長低迷ないし政治的動乱などきわめて厳しい挑戦を受けるとの業界専門家の指摘もある。

 ファー・イースタン・エコノミック・レビュー(Far Eastern Economic Review)の10月1日号に掲載された「中国における次の革命」と題する経済評論文の中で、著者の米南カリフォルニア大学のダニール・リンチ教授は、今後数年間、中国のGDF成長率は緩慢になると予測する。共産党政権は徹底的に経済構造ないし社会体制を変えなければ、まもなく貧富の格差の拡大、失業、経済成長低迷ないし政治的動乱などきわめて厳しい挑戦を受けると指摘している。

 中国経済の成長率は、05年~08年の9%~12%から09年第一季の7・1%にまで下がったが、これに対し、中共の官員は憂慮することなく、中国の経済成長率は温和的衰退だと言っている。しかし、ダニール・リンチ教授の観点では、中国は昨年の下半期の輸出が20~25%にまで下がっており、今もなお昔日の水準に回復していない。中共の官員は憂慮していないと主張しつつも、昨年慌ててGDFの13%に相当する5860億ドルを調達して経済刺激を行い、しかも国営銀行に国内資本の流動性を維持するよう命令した。

 ダニール・リンチ教授の見解によると、大多数の経済専門家は、政府が穏やかな経済衰退に過激な刺激を与えることに賛成しない。なぜなら、そのような措置は往々にしてインフレを招きかねないからである。この理論によって中国政府の行為を検証すれば、その中の問題点が明らかになる。すなわち、中国経済の衰退はそれほど深刻ではないと強く主張しつつも、米国に相当する経済刺激策を施したという矛盾点がある。たとえ中共が公表したデータが信用できるものとしても、これほど膨大な経済刺激方案は結局、GDPの成長率を少し高めただけに過ぎず、しかも中国当局はさらに経済刺激を拡大しようとしているのだ。

 リンチ教授によると、中国経済はすでに危機に陥っているものの、中共の官員が真相を隠ぺいしているのは、世界に「中国の台頭」を宣伝するのが狙いである。このスローガンに惑わされた人は、2020年までに中国は米国を追い越すだろうと期待するようになるが、究極のところ、「政治バブル」を引き起こすことになるにちがいない。インテリ層は一旦真相が分かれば、立ち上って中共の独裁に反対することになるだろう。

 リンチ教授はいくつかのデータを提示し、09年前半の中国のGDF成長率が7・1%に達したという政府発表に疑問を呈した。09年前半において、中国の火力発電用の石炭使用量は8・9%に下がり、石油消耗量も2・6%に下がったが、それまで数年間の資源の消耗量はずっと7~9%ほど増加し続けていた。また、09年前半の総税収は6%下がったが、それまで数年間の総税収の成長率は17~31%であった。以上のデータに基づいて、リンチ教授は中国経済は実質上衰退したと断定した。

 今回の経済衰退により、もっとも多大な影響を受けたのは、中国の民間中小企業である。これらの企業は中国のもっとも活力ある経済エンジンであるにもかかわらず、景気が悪化して以降、銀行はもはやこれらの中小企業に資金貸与しなくなった。これは、間違いなく中国経済成長にとって「泣き面に蜂」になると、リンチ教授は指摘する。

 さらには、信用にも危機が起こり、貨幣供給は昨年同期に比べ25%高くなり、銀行の新しい貸付額が倍増し、消費価格が今年以来1~2%下がり、生産者物価指数が7~9%下がった。これに対し、不動産の価格だけが上昇し、生産量の増加速度は貨幣供給量に及ばないが、売買量は下がらない。このように、あらゆる現象は、中国の社会経済における不平等や貧富の格差が拡大し続けていることを示しているのである。

 中国の裕福層は気軽にあらたに融資が受けられ、株や不動産に投資することができるが、中間層ならびに貧困層は融資を受けられない。貧しい人々は現地で足踏みするしかなく、昨年冬季、およそ2~4千万人(実際はもっと多いと考えられる)の農民工が失業した。こういった状況の中、中国の内需市場は成長するすべもなく、小売業は生存していけなくなるのである。

 リンチ教授は今後数年間、中国のGDF成長率は緩慢になると予測する。そのため、中国は今後、中国の商品をそれほど購入しなくなった国際市場に適応するように調整しなければならない。つまり、中国は徹底的に経済構造ないし社会の人文的なものを変えなければならない。これには、苦しみつつ相当の代償を支払わなければならない。さもなければ、中共は社会が激動し、政治危機が起こり、そして民主自由の革命に直面せざるをえなくなるのだ。

(翻訳編集・小林)


 (09/10/27 06:47)  





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