■大紀元日本 http://www.epochtimes.jp/jp/2009/10/html/d31598.html



10月8日から10日まで、北京で開催された世界メディアサミットにて(PETER PARKS/AFP/Getty Images)

世界メディアサミット、同床異夢の北京当局と世界大手

 【大紀元日本10月13日】10月8日から10日まで、中国国営報道機関新華社が主催し、世界メディア大手のAP通信、AFP通信、共同通信、ロイター通信など9社が共同発起人となった世界メディアサミットが北京で開催された。中国内外の新聞社や通信社など約170社がサミットに参加した。

 共産主義統治の実力を演じ、世界制覇の野心を国際社会に見せた10月1日の大閲兵行事が終わったばかりの中、中国当局にとっては、今回のメディアサミット開催は特別の意義がある。一方、世界メディア大手も、情報・言論統制を厳しく行う中国には真のメディアは存在せず、政府報道機関は宣伝の道具にすぎないと分かっていながら、中国当局の呼び掛けに応じたのも、別の目的がある。在米中国人ジャーナリストで、中国のメディア問題研究者・何清漣氏が、北京当局と世界メディア大手の「同床異夢」を、次の観点から斬る。

1.中国の目的:ソフト・パワーを見せる

 今回のサミットを利用して、中国はソフト・パワーを見せようとしている。メディア業界において悪名の高い新華社通信が、世界大手メディアと一緒にサミットを開催した。その狙いは、新華社が大手であることを証明し、世界メディア業界のリーダー的地位を示そうとしたものである。

 特に国内の民衆にとっては、サミットという言葉の使用は興味深いものである。中国にとってはG8のサミットが8つの国の首脳会合となった以上、メディアサミットは必然的に世界メディアの首脳会合となるだろう。新華社が発表した世界メディアサミットのQ&Aの第一問は、「なぜ定期的に世界メディアサミットを開く必要があるのか」。それに対する答えは、「世界メディアは定期的に会合し、発展についてともに議論する必要がある」。これはG8の趣旨とまったく同じである。

 このレベルは、数年前に開かれた世界中文メディア大会をはるかに超えている。世界中文メディア大会はあくまで、海外の統一戦線活動の一環であり、参加者のほとんどは中共が直接的、あるいは間接的に投資したメディアであった。一方、今回の世界メディアサミットに参加したのは、欧米や日本などの大手メディアで、その規模とランクは世界中文メディア大会を超えている。国際的地位ではアメリカに劣らないということを中共が顕示しようとした。サミットの開催場所を、毎年人民代表大会と政治協商大会を開催する人民大会堂にしたのは、厳かさを演出する以外に、ロイター通信、AP通信、AFP通信と政治協商することを意味する。

2.世界大手メディアの狙いは、中国市場

 厳しく情報・言論統制する人民日報、新華社などの政府報道機関は、常に事実を無視して、党の要求に合うような報道をしている。特に、五輪やチベット、新疆事件などの報道に関してはなおさらである。自らの報道の公正さを如何に粉飾しても、新華社の世界メディア業界における評判は極めて悪い。世界大手メディアは中国当局と共に今回のメディアサミットを発起したが、その目的は北京当局とまったく異なっている。「同床異夢」ということわざを用いて、今回のサミットのホストとゲストを表現するのがよりふさわしいだろう。

 北京当局は今回のサミットにこれほどの政治的な意味付けをしていたが、外国メディアの狙いは中国のメディア市場である。20世紀90年代以来、これはずっと海外メディアの夢であったが、過去2年間度々、中国当局が定めた各種の規定によって破られ、海外メディアは今だに夢の中で幻想しており、目覚めない。

 私はかつて著書「霧に封鎖された中国-中国大陸がメディアを操る秘密」の第10章に、外資が中国メディアに参入する可能性について、ある寓話を使って説明した。一人の農民がロバを引いて道を急いでいる。ロバに早く走ってもらうために農民は一握りの青草をロバの鼻の前で振っている。ロバは青草を食べるために歩調を速めた。その農民の役を演じているのは、中国当局で、海外メディアは馬鹿げたロバである。青草はまさに、中共政府が発行した中国メディア市場へ参入するための資格である。痛ましい教訓を示してくれたロバは、アメリカメディアの巨頭であるマードックにほかならない。彼の中国での経験は助手のブルース・ドーバーによって、「マードックの中国冒険」という本にまとめられ、マードックが如何に利益のために北京に屈服したかが詳しく紹介されている。

 2005年、中国当局にメディア市場を開放してもらうために、世界の数多くの大手メディアが中共に媚を売った。ところが、2005年8月に中国当局が「文化商品の輸入管理条例」を発表したため、海外メディアの中国市場の夢は破れた。

 のどもと過ぎれば熱さを忘れる。今年7月22日に中国が「文化産業振興企画」を発表した。この企画は中国の第11大産業振興企画と呼ばれ、今後数年の中国文化産業の発展に指針を与えたといわれている。この企画によって、中国の文化産業へ外資を増やすチャンスがあると思われている。このため、数多くのメディアが中国メディア市場に参入する機会に恵まれたと思い、一部の外国メディアがメディア市場化は中国の報道自由を促進させると唱え始めた。

 中国のメディア規制状況を知りながらも、海外のメディア大手は、利益目当てから新華社が開催した世界メディアサミットに参加した。中国市場への狙いが実現できるか否かは未知数である。実は、これらのメディアの中国駐在員が遭遇したことが、中国の報道の自由はまだ前途遼遠であることを十分証明している。恐らく、中国当局が操る青草にもてあそばれるロバの結末になってしまうだろう。

(翻訳編集・張陽)