■大紀元日本 http://www.epochtimes.jp/jp/2009/10/html/d64417.html



10月1日、香港で行われた中共脱党の応援集会(大紀元)

「オバマ、共産党離脱運動に注目せよ」=訪中前、米紙呼び掛け

 【大紀元日本10月30日】「11月に中国訪問を予定しているオバマは、共産党離脱運動に注目すべき」。米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」(電子版)は21日、「中国の現状への水面下の挑戦」と題する論評を掲載し、米オバマ大統領に、中国で進行している「共産党からの離脱運動」に注目するよう呼びかけた。中国全土で広まっているこの共産党離脱ブームは、中国の民衆が人権や公民の自由などの価値観を理解し始めた証しであり、新たな民主運動の兆しであると同文は主張する。

権力と虚飾の下、憎しみ、不満、猜疑心が密かに潜行

 同評論文は、先月、中国東北部の遼寧省政府機関紙「錦州晩報」に掲載されたトップ記事の写真事件を紹介した。中共政権60周年記念の特集記事で、赤旗が道の両端に翻る平凡な写真だが、目をこらして見ると、小さな文字で「天滅中共、三退平安」(天が中共を滅する。中国共産党、中国共産主義青年団、少年先鋒隊から脱退すれば、身の安全が守られる)という、人々に共産党関連組織からの離脱を呼びかける文字が写っていた。

 同文の紹介によると、「錦州晩報」のトップ記事の写真に載っているこれらの文字は、中国本土で頻繁に現れている。中国共産党に挑戦する脱党の呼びかけは、公園に掲げられた横断幕から、インターネットのブログ、紙幣に手書きされたものまで、中国の随所で見られ、すでに中国全土を静かに席巻しているという。異見者によるこれほど大規模な地下運動は、80年代の天安門事件以降初めてである。

 写真掲載の翌日、「錦州晩報」は業務停止命令を受け、ウェブサイトも早々と閉鎖された。同事件は、中国共産党統治の現状を的確に表した事件であると同評論文は指摘した。権力と虚飾の下で、憎しみ、不満、猜疑心が密かに潜行している。60年にわたる共産主義の統制で、中国はさまざまな政治、社会の激動を舐め尽くしており、心に深い傷を負っている。

問題となった「錦州晩報」のトップページ。左下部分を拡大したのが下の写真(ネット写真)

「天滅中共、三退平安」のスローガンが、駐輪場のフェンスに書かれている。(ネット写真)

中国全土を静かに席巻する「脱党ブーム」


 「クリスチャン・サイエンス・モニター」の評論文によると、情報統制の厳しい中国共産党の統治下では、おおやけに自国の歴史を議論し、自らの役割を担って平和を創造するといった道は、閉ざされてしまっており、独自の方法を見出すしかない。「中共からの脱党運動」が人々を惹きつける理由はこの辺りにあると考えられる。

 「中共脱党」運動は2004年末に発表された「大紀元時報」のシリーズ評論『九評共産党』(邦訳:共産党についての九つの論評)から始まった。論評の最初の部分では、中共の史実を詳細に記載し、その性質を分析している。また、共産党は中国の伝統文化や価値観と相いれないため、同党の解散なくしては、中国に真の自由と繁栄がもたらされることはないと論破している。

 何百万部もの『九評』が、電子メールやファックス、地下ルートを通じて中国大陸に流入した。中国人読者にとって『九評』は長年疑っていた「大躍進」「文化大革命」「天安門広場事件」などの真実を解き明かす貴重な論評だ。『九評』を通して初めて、自分の記憶に間違いのないことが確認でき、他の中国人と苦難を分ち合うことができるようになったのである。

 2004年12月、『九評』が掲載されて1カ月後、大紀元時報編集部は、読者から「中国共産党、中国共産主義青年団、中国少年先鋒隊から脱退する」という声明を受け入れるようになった。現在、大紀元時報に送られてきた声明は、すでに6千万人を超えている。

良識を呼び戻し、伝統的価値観への回帰

 同評論文は、中共脱退運動は、伝統的な政治運動ではなく、西洋の民主主義を受け継いだ1989年の学生運動とも異なっていると指摘する。中共から脱退するということは、単なる政治的意義に留まらず、精神的な変革を意味する。すなわち、忘れていた良識を呼び戻し、伝統的な倫理と価値観に回帰する過程なのだという。

 共産党から脱退する多くの中国人は、その声明を通して次々に個人的体験を吐露している。古参党員で浙江省の農民・丁偉昆さん(74歳)は、自分が住んでいる町政府が不動産業者と結託し、農民たちの土地を奪ったと嘆く。丁さんの話によると、町政府はマフィアを雇い、抗議する農民たちを攻撃した。丁さんは、地元の町政府に陳情したが、逮捕・投獄され、40年も忠実に仕えた政党から弾圧を受けることとなった。

 一方、脱党声明と共に罪を告白する人もいる。遼寧省の前中共党員・肖山伯さんは、「わたしは自分がよい人だと思いつづけていた。しかし、振り返ってみれば、だんだんと自分を失いつつあることに気がついた。私の頭と心は徐々に腐食されてしまっていた。自分の過去の言動はことごとく無効であることを宣言する。それらは、無知の中で、中共の虚言と宣伝を受け入れてしまった状態で行ったものである」ときっぱり宣言した。

 肖さんは、どのような罪を犯したのかについて言及していないが、声明の最後に自分のやり方を変えて、罪を償いたいと述べている。

オバマ大統領は、多くの中国民衆に接するべし

 脱党運動に対する中共の反応は予想通りだった。脱党の関連語彙はみなインターネットで監視され、現在少なくとも71人が脱党運動に関わったとして監禁されていると、「クリスチャン・サイエンス・モニター」のこの文章は示した。

 中共の懸念は当然だろう。数十年来、中共は情報を検閲し、国民の記憶をコントロールし、異見者を弾圧することで権力を保持してきたからだ。中共脱党の声明文は、中国社会の表層下で渦巻く不満を露呈しているのである。

 脱党運動は、中国人がいかに人権、自由、民主の価値観を理解し、それらを伝統的な儒教的世界観と融合させていくかを示している。新たな民主運動の予兆となる可能性も十分考えられる、と同文は指摘する。

 いずれにせよ、脱党運動は間違いなく「大多数の中国人は現状に満足している」という一般的な論調に疑問を投げかける。オバマ大統領は11月の訪中に際し、この脱党運動に注目すべきであろう。大統領が中国政府だけでなく、多くの中国の民衆に接することを切に希望すると同評論文の作者は呼び掛ける。

(翻訳編集・小林)