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中国共産党幹部のエリートを育てる学校でも、『九評』はこっそり読まれており、脱党運動に拍車をかけたといわれる。写真は、同書の邦訳版(大紀元)

5年間で6000万人の魂を救った一冊の本

 【大紀元日本12月3日】一党独裁の中国では、党に異議を申し立てる者を容認しない。1989年の天安門事件を通して、この現実が海外の民主社会の人々に周知された。しかし、現在の中国で、政府への異議を表明する運動が着実に広がっていることは、世界にあまり知られていない。この動きに拍車をかけているのは、実は一冊の本。

 中国人を捉えた著書

 5年前の2004年11月、『九評共産党』(邦訳:共産党についての九つの論評)という中国語の著書が、海外中国語圏で出版された。中国共産党がどのように権力を握り、どのように中国を統治してきたのか、その過去60年間の歴史を暴露する本である。中国文化の背景における中国共産党のイデオロギーを論じ、詳細にわたり、衝撃的な形で、中国共産党が中国の人々に対して犯してきた罪を書き出している。

 60年にわたる統治で、中国共産党が、ナチスとソ連が殺戮した人種および国民の数の合計より多くの人民を殺害したことはよく言われており、中共の犯罪は、想像を絶する規模だ。

 同書は、中国の国内外で幅広く配布されている。中国政府を批判する書籍は他にも多く出版されてきたが、中国人全体をこれほどまでに捉えた書籍は他にない。中国社会の様相を変える働きのある一冊だと、多くの中国人学者やジャーナリストが語っている。

 脱党運動に拍車をかけた一冊

 国営の中国紙「新華社」で27年間ジャーナリストとして務め、現在、ラジオ・フランス・インターナショナルの中国語部門で取締役を務める呉葆章(ウー・バオ・チャン)氏は、次のように話す。

 「過去5年間、『九評』を枕元に置き、何度も何度も読み返した。民主主義に立脚した自由な中国の青写真が、おぼろげながら見えてきた」

 同著は、現在の体制を他に置き換えるよう示唆しているわけではない。現在の体制は失敗に終わっており、国民を一緒に巻き添えにしていると同書は断言している。「中国共産党は、完全に崩壊する前に、5千年の文明の歴史を有する中国を道連れにしようとしており、これは正に中華民族の大きな不幸と言える」

 また、中国共産党の統治が最も破壊的な作用を及ぼした点として、芸術、メディア、教育の分野でプロパガンダを広め、中国人のための「党文化」を効果的に築き上げ、中国共産党の理論で思考することを中国人に強制してきたことが同著で指摘されている。

 「中国人は自らを救わなければならず、反省しなければならず、共産党支配から脱出しなければならない」と同書は語る。

 このような「自救」行動を、普通の中国人がすでに起こし始めていると呉氏は語る。現代の中国では、これまで口にすることさえ阻まれたスローガンを叫ぶようになった、と最近中国から戻ったフランスのジャーナリストの話を例に挙げている。上海と広東の抗議集会で、大勢の人が「打倒中共」と大声で叫んでいたという。中国社会で大きな変化が起こっていることを人々は感じとっているのだ。

 この背後には『九評』があると呉氏は指摘する。

 エリートが隠れて読む本

 共産党幹部のエリートを育てる中国共産党中央党学校でさえ、学生や指導員が隠れて『九評』を読んでいる。上海の人権派弁護士・鄭恩寵(チョン・エンチョン)氏は、『九評』が中国で広く読まれている事について、次のように述べた。

 「黒龍江省で文学の教授を務めていた時、省政府の党学校の教授や北京の経済貿易大学の教授をしたことのある女性が私のコースを履修しており、党学校の教授たちが『九評』を読んでいたと教えてくれた」と鄭氏は語る。

 近年注目された中国からの亡命者の多くは、共産党離脱を決意する上で『九評』を評価している。山西省の元官僚・賈甲氏、オーストラリアの中国領事館から亡命した前領事・陳永林氏などが挙げられる。

 「退党」運動

 『九評』は、今日の中国で、異論を唱えるいくつかの運動を生み出す刺激となっている。「退党」(トゥイ・ダアン)と呼ばれる中国共産党脱退運動は、中でも抜きんでている。

 「退党」運動は、「三退」とも呼ばれ、中国共産党、中国共産主義青年団、少年先鋒隊から脱退することを促す。中国国民のほとんどが、人生の各段階で、これら三つの団体のいずれかに所属する経験をもつ。

 「退党」運動のホームページによれば、現在までに、脱党を表明する6000万以上の声明を受け取っており、1日平均で5万の声明が表明されている。

 これらの数には信ぴょう性がないとして、中国関連の専門家を含む多くの人々は、「退党」を軽視してきた。しかし、鄭氏はこの運動は浸透性が高いと語る。

 「実名でも偽名でも、中国共産党からの脱退声明を公にしていない人々がおり、実際に脱党(三退)した数は、海外で記録されている数を遥かに上回ると思う」とコメントしている。

 これは、『九評』の持つ、思想の中の「党文化」を溶解する力を反映しており、「党文化はもはや人民の間で立脚することはできない。党文化は、暴力の文化であり、階級闘争である。一般社会を腐敗させただけの党文化には、良いことは何もない」と鄭氏は解説した。

 法輪功学習者の努力

  北京大学法学院の前教授で、全体主義体制下にある中国についていくつかの著書がある法学専門家・袁紅氷(ユエン・ホンビン)氏は、『九評』を、最も分かりやすく包括的な著書として評価している。

 「『九評』が深く広汎に普及していることは、法輪功学習者の努力と切り離すことはできない。何年にもわたり、彼らは、人々を目覚めさせるために、『九評』を人々に知らせるための相当な努力を払ってきた。同書を促進する過程は、『九評』同様に意義深いと思う」と語った。

 『九評』には、中国共産党が隠蔽する大掛かりな犯罪である法輪功迫害に関する情報も含まれており、学習者が共鳴する理由も理解できる。「この迫害の残虐さは、凄まじいものだ。中国共産党政権による法輪功迫害は、現代でも最悪の人権侵害と言える」と袁氏は語った。

(記者・Dane Crocker、翻訳編集・鶴田)


 (09/12/03 08:42)  





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