印刷版   

無計画なインフラ建設プロジェクトの急増等により、生産過剰問題がさらに深刻になった(GettyImage)

世界不況と巨額経済刺激策で、顕在化する中国経済の生産過剰問題

 【大紀元日本2月5日】13億人もいる巨大な潜在市場の中国では、インフラ整備を続ける限り、重工業の過剰生産はあり得ないと考える人がいるようだ。しかし、近年絶えず増加していた純輸出の影に隠れていた中国の生産過剰問題が、2008年の金融危機の発生と共に浮上してきて、その影響を受け、中国経済は、まるで「危険なレールに載った暴走列車」の深刻さを呈している。

 1月24日付の豪紙「シドニーモーニングヘラルド」で、中国社会科学院(CASS)世界経済・政治研究所の元所長で、中国マクロ経済学の第一人者といわれる余永定(ユ・ヨンディン)教授のこの観点が紹介された。

 「13億人を有する中国にとっては潜在需要は限りないもので、中国では生産過剰問題はあり得ない」という考えについて、余教授は、「生産過剰問題があるかないかは、人口で判断することではない。一つの国が50%以上のGDPを投資にまわしたときにこの国には、生産過剰問題があると言わざるを得ない」と反駁した。

 余教授によると、「中国経済は一つの落とし穴にはまった。これは、過剰な投資によって供給が増加させられるが、消費がなかなか供給増に追いつかないため、前期に増えた供給を吸収するための需要を作るために、次期にまた投資の増大を強いられるという悪循環。こうして、中国経済は供給過剰拡大の渦に巻き込まれるようになった。主な原因は、2001年の投資のGDPに対する比率が25%から現在の半分以上まで上がったことである。明らかにこれは安定した経済状態ではない」と指摘した。

 さらに「中国の生産過剰問題は実は2005年からすでに存在していたが、純輸出の影に隠れていたため、あまり気づかれなかった。2008年の金融危機で貿易が大きなダメージを受け、外需が急激に減少したため、国内の生産過剰問題が顕在化した」と話した。

 政府の4兆元(約52兆円)景気刺激対策と生産過剰問題の関連性について、同氏は「景気刺激政策のために拠出した莫大な投資資金をもとに、地方政府が誇大な設備やインフラ建設プロジェクトを次から次へと行った。例えば、町のないところに飛行場が建設され、高速道路と並行して鉄道が敷かれ、地方政府からの土地収用補助金を目当てに、壊されるために施設が建てられている」と懸念を示した。このような理解しがたい事業の急増で、現在鉄鋼やセメントなどの業界における生産過剰問題がさらに深刻になったと指摘。

 また、「2009年から2010年にかけて、米国をはじめとする各国の景気回復に伴い、外需回復で、純輸出の中国GDPに対する貢献度は6%に達するだろう」と予測し、生産過剰問題が完全に解決されるとは思わないと示した。

 一方、生産過剰の解決策に関して、余教授は「小売業やサービス業を含む第3次産業に対する規制を緩和し、第3次産業を発展させることによって、内需が拡大し、生産過剰問題はある程度緩和される。しかし、これは政府の第3次産業への独占力と支配力を弱めるよう要求することになるので、容易なことではない」と意見を述べた。

(大紀元日本語版翻訳編集チーム)


 (10/02/05 08:26)  





■関連文章
  • 貿易総額16%減 中国製造業、空前の危機(09/12/31)
  • 過剰生産:中国国内の「中国産」問題(09/12/27)
  • 迫り来る七大金融バブル、中国不動産市場が2位に=米フォーブス(09/12/23)
  • 中国:2010年度財政赤字、1兆元突破か(09/11/12)
  • 「ドル基軸、当然視は間違い」=ゼーリック世界銀行総裁(09/10/01)
  • 台湾大陸委員会、中国の雇用率統計に疑義(09/09/28)
  • EU商工会議所会長 「中国当局は、外資系企業への規制を強化」(09/09/10)
  • 北京学者: 中国経済が直面する7つの難題(09/08/21)
  • 中国における上半期の賃金上昇への疑義(09/08/14)
  • 豚インフル感染拡大:世界経済回復を打撃、強まるリスク回避の円買い(09/04/29)
  • 国有大手企業の従業員3百人、給料未払いでストライキ=重慶(09/04/16)
  • 貧富の格差 中国の内需拡大は困難(09/03/27)
  • ロシアで再び反政府デモ(09/03/15)
  • 世界金融危機で、香港百万長者16%減(09/02/22)
  • 国際経済学者:中国のGDP伸び率はほぼ0%近い、政府は中国経済の実態を隠蔽(09/02/19)