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一斉に共同社説を発表した中国国内紙。市民に自由に移動する権利を与え、戸籍改革の加速を促している(ネットスクリーンショット)

地方紙13紙、異例の共同社説 戸籍制度の改革を促す=中国

 【大紀元日本3月3日】第11期全国人民代表大会(5日開会)と政治協商会議の年次総会(3日開会)を控え、中国国内13紙は1日、一斉に共同社説を発表した。市民に自由に移動する権利を与え、戸籍改革の加速を促した同共同社説は、共産党政権成立以来国内マスコミの異例な行動で、注目を集めている。しかし、政府側のニュースサイトに転載されず、既に掲載した新浪網と鳳凰網も同日夜、記事を取り下げた。

 共同社説を発表したのは「南方都市報」「城市晩報」「経済観察報」など全国11の省、自治区と直轄市の13の地方紙。共同社説は、1958年に公布された現行の戸籍制度は都市部と農村部の格差を拡大させ、都市部住民と農村部住民との不平等を生み出したと指摘し、現行戸籍制度の早期廃止と改革のタイムテーブルの明確化を求め、住民登録制に切り替えようと全人代に呼びかけた。

 また、市民が自由に移動する権利が剥奪され、「憲法」違反だと批判し、都市部の戸籍が売買されるなど腐敗の温床にもなっていると指摘した。現行の戸籍制度を改革しなければ、市民の不満を抑えることができず、国の建設に追いつかないと改革の緊迫性を力説した。

 改革へのマスコミの焦り

 シンガポール中国語紙「聯合早報」の報道によると、中国人民大学世論研究所所長、喩国明教授は、中国政府にとって最重要な会議を控えるこの時期に発表された共同社説について、「1949年建政以来、中国マスコミの初めての試み。中国政治体制に欠陥があることを反映している。マスコミの影響力が制限されているため、共同社説という形で影響を拡大しようとしている」と評価の姿勢を示した。

 戸籍問題の専門家である北京理工大学の胡星斗教授は、「共同社説の発表はマスコミの良識ある行動で、(全人代という)この時期での発表は適切なタイミングだった」と評価の声が相次いだ。

 また、作家で北京在住のジャーナリスト凌滄洲氏は記事を発表し、「縦社会の中国でマスコミの横の連携が実現されたことは、マスコミの政局に対する失望と改革への焦りの表れだ。政治改革の停滞にマスコミがすでに我慢できなくなった」と擁護した。

 共同社説を発表した「経済観察報」は同日、「マスコミは立会人だけではない。なぜ共同社説を発表したのか」と題する記事を掲載し、「マスコミは歴史の立会人だけではなく、歴史を前進させる開拓者でもあるべきだ。中国の戸籍制度はすべての市民に影響し、すべての人はこの制度に注目し、改善する義務がある。マスコミとして、共同社説の形で全人代の代表と委員に進言したが、市民の一人ひとりが共同社説を各掲示板に貼り付けることによって、中国社会の民主化が促されるに違いない」と世論形成を呼びかけた。

 一億人の自由を奪う戸籍制度

 1958年に公布された「中華人民共和国戸籍登録条例」および関連制度は、農業戸籍と都市戸籍を区別し、農村人口の都市流入を制限している。常時居住、一時居住、出生、死亡、転出、転入、変更など7項目の制度が含まれ、都市・農村の二元化構造が中国の社会に深く根を下ろしている。改革開放後、都市・農村の二元化体制は都市戸籍への利益を増大し、社会保障、教育、医療、公共サービスなど、戸籍に由来する利益は、ほぼすべての権益に及んでいる。

 中国農村問題研究センター副主任の項継権教授は、「市場経済制度では通常『移転の自由』が付き物なのに、戸籍制度は人口登録を通じて権利を区別化し、出生地に基づいて権利を決定している。これにより発生した就業、居住、租税、教育、医療、社会保障、資格、金融などにおける二元化は、社会の健全な発展を阻むものだ。1億人あまりの出稼ぎ農民労働者は都市で発展の成果を享受できず、流動コスト、公共管理コスト、社会リスクコストも高くなっている」と指摘する。

 中国の一部の大都市と沿海地域で、出稼ぎ農民労働者は1億5千万人に達し、在住期間が長くなり、戸籍を現地に移したいと希望する者も多い。しかし流動人口に対して移動の自由を制限する管理制度が設けられている。かつて暫住証(暫定的居住証明書)のない流動人口に対して収容される厳しい制度があったが、03年に孫志剛という深せん市から広州市に出張していた青年が暫住証がないため役人の暴行を受けて死亡した事件をきっかけに、市民が激しい抗議活動を展開し、その結果廃止となった。それ以来、厳しい戸籍制度を廃止する声が絶えない。

 同共同社説の発表について、インターネットでも熱い議論が交わされている。「西側諸国を習い、住民登録制を導入し、人員の合理的移動を促すべきだ」と歓迎の声が上がる一方、「戸籍制度改革は簡単なものではなく、長期的な過程を要し、呼びかければできるものではない」という慎重な姿勢を示す人や、「戸籍制度の問題ではなく、土地を自由に売買できないことに原因がある。農村間の移動もできず、都市部で人口が増える一方で、分散する方法がない。リストラされた都市部の市民に土地を与え、定住させる農村があるのか」と戸籍制度改革そのものに疑問を呈する人もいる。

(翻訳編集・高遠)


 (10/03/03 08:59)  





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