「体内にたまった湿邪に要注意!」湿気を除く6種の食物

体内にたまった「湿気(しっき)」は「化火」つまり火に変わりやすく、根治しにくい湿熱体質になります。
化火(かか)とは、体内熱の熾盛(しじょう)をさす漢方医学の用語です。
 

「不要な水分が排出されない」のが湿邪

漢方でいう湿気とは、体内のさまざまな部位に停滞した不要な水分のことです。湿気は、さまざまな不調をもたらしますので「湿邪(しつじゃ)」とも言います。

通常ならば尿として排出される水分が何らかの機能障害によって体内にたまり過ぎると、浮腫(むくみ)やその他の病気の原因にもなります。

体内の湿気には、主として外湿と内湿の2種類があります。
外湿は天気や環境の湿度が高いために起きますが、内湿は体内の代謝機能に何らかの不調が生じたために起きるものです。

郭世芳漢方医院の院長・郭世芳氏によると、雨が降り続いたり部屋の湿度が高すぎたりすると体に影響が出やすくなると言います。
特に脾臓膀胱の機能が低下している人に、体調の異変が起こることがあります。
「簡単に言えば、湿気は代謝不良の産物です。体内の湿気が多いと、肺や脾胃(脾臓と胃)、膀胱機能に影響を与えます」

郭氏によると、湿気過多の症状としては、頭が重い、めまい、倦怠感、目の周囲の浮腫、舌苔(ぜったい)が厚くなる、舌が腫れる、湿疹、食欲不振、味覚障害、軟便、下痢、排尿障害、女性のおりもの増加、下肢がむくんで重くなる、手足が冷たくなる、などがあります。

朝に目の周囲の浮腫があっても、通常は一時的なものであり、起床後しばらく活動すると浮腫は消えます。これが一日中持続する場合は、体の代謝機能が悪くなっているサインであり、体内の湿気が多いことを意味します。

体内に湿気が溜まり過ぎると、それが「火」と化して湿熱に変わります。漢方医師である郭氏は、「(患者が)こうなると湿気治療では一番扱いにくいのです」と指摘します。

湿熱の診断基準となる代表的な症状としては、「舌苔が厚くなって、粘り気がある」「水をたくさん飲むが、それでも喉が渇く」「便の量が少なく、黄色い」「黄疸が見られる」「便の粘度が高く、便器にくっつく」などがあります。
 

まずは「3つの改善」で除湿開始

このような湿性体質を改善するために、3つの方向から「体内の除湿」を行いましょう
「まずは体のケアが第一です。薬に頼るのは、最後の選択肢にすべきです」と郭氏は強調します。日常の保健としては、生活習慣、防護措置、飲食の3点から着手できます。

1、生活習慣の改善
湿気による体調不良が疑われるときは、過労を避け、十分な休息をとるとともに、適度な運動や気功で体を鍛えて、体内の気(エネルギー)を高めます。

適度な運動、温湿布、サウナは、いずれも発汗を助け、体内の湿気を除去します。サウナに入ると短時間で汗を排出することができますが、心肺機能の弱い人は避けてください。体質の弱い人には、熱すぎない温湿布が良いでしょう。

2、体を防護する対策
気温が下がったら、適切に防寒着を使用します。雨が降った場合には、レインコートと傘を併用して、風、寒さ、外湿の侵入を予防します。
特に体質の弱い人は、雨に濡れないようにしましょう。湿気が多い室内環境では、除湿機をつけて湿度を下げるようにしてください。

3、飲食の改善
冷たい飲み物や甘いものをよく食べる人は、努めてよく噛み、ゆっくり食べる(飲む)習慣を身につけてください。さもないと脾胃を悪くし、水分代謝に影響を与えます。

湿気体質の人は、甘い食物を控えるとともに、食事の際に水をガブ飲みしないよう注意してください。また夜は、氷水や冷水を飲んだり、冷たいものを食べないようにします。冷たい飲み物は、日中に少し飲む程度にとどめてください。

郭氏は、脾胃(脾臓と胃)は人間の中心体温と関係があり、「脾胃の状態が良くないと中心体温が低くなるため、手足が冷たくなる」と言います。

水分補給について言うと、とくに女性や年配の方は、秋冬の夜には300~400cc程度のお湯を飲むのがお薦めです。これを習慣にすると、薬を飲まなくても、手足の冷えの問題は改善できるかもしれません。

就寝後の頻尿が心配なら、食後に飲んでも構いません。ただし胃が弱い人は例外で、食後すぐに水分を摂り過ぎると胃酸が逆流する可能性があるため、少し時間を置いて、胃が落ち着いてから飲むようにします。
 

体内の湿気を除く6種類の食べ物

次に、体内の湿気を取るのに役立つ食べ物を、6種類ご紹介します。

1、四神湯(ししんとう)
長芋・茯苓(ブクリョウ)・オニバスの実・蓮の実からなる四神湯は、除湿の薬膳スープとしても有名です。自分で材料を買って煮込む場合は、薬材の新鮮さ、検査に合格しているかどうかに注意してください。購入後は冷蔵庫で保存するようにします。

2、ハトムギ
利湿効果がよく、抗がん効果もある食材です。ハトムギはご飯と同等のカロリーですが、多めに食べても問題なく、健康効果も高いです。雑穀店で粉に引かれたハトムギを買って、毎日の朝食時にお湯で溶き、コップ一杯飲むのも良いでしょう。
湿気の症状の1つである「めまい」は、体内に溜まった水が原因で起こります。ハトムギは体内の水の排出をスムーズにしてくれます。

3、トウモロコシの毛茶、小豆、緑豆
この3種の食材は、いずれも利尿、利水の効果があります。とくに小豆には補血の作用があり、緑豆は清熱(熱を冷ます)作用があります。
ただし、市販の小豆スープや緑豆スープは甘すぎることがあるので、自宅で煮て作るのがベストでしょう。
自分で煮たスープに甘味をつける場合は、精製された白糖ではなく、少量の黒糖を加えます。郭世芳氏によると、黒糖はミネラルを含み、カロリーが比較的少ないので、糖尿病の体質の人でも適量なら飲めると言います。

4、ショウガ、ウコン
気(エネルギー)が弱い人は、寒さに弱くなりがちです。湿気は一種の邪気なので、温かい薬湯で湿気を発散できます。生姜や薑黃(ウコン)をベースとする薬湯は、温陽(おんよう)除湿の効果があります。

5、黄耆(キバナオウギ)
西洋医学の薬である利尿剤は、血圧を下げ、目まいをひどくする副作用があります。黄耆は余分な水を排出しますが、気を補うことができ、目まいを起こしません。

6、荷葉(カヨウ)
荷葉はハスの葉です。
昔の人は、夏にハスの葉を水で煮て飲んだり、炊いた水でお粥を作ったりして、暑さをしのぎました。人々は漢方薬局でハスの葉を買って、家で水を入れて沸かしてから「ハスの葉の水」を取って料理します。

湿気が強いことが疑われる症状がある場合は、この方法を試してみてください。
効果が得られない場合は、他の要因も関係している可能性があります。漢方医または西洋医に相談することもお考えください。
(文・/翻訳編集・鳥飼聡)